J Gastrointest Surg (IF: 3.45; Q3). 2021 Dec;25(12):3040-3048.
【背景】
サルコペニア、筋肉量低下、筋力低下は食道切除術後の合併症の増加と関連している。
握力、筋肉量、筋内脂肪組織が、食道切除術後の術後アウトカムと死亡率の予測因子となるかを比較した。
【方法】
低侵襲食道術を行った175人の食道がん患者が対象。
骨格筋指数と骨格筋密度は、術前CTから判断。
握力は、握力計で評価。
単変量、多変量解析で解析をした。
【結果】
術前握力が、正常は91例(51%)、中等度低下43例(25%)、低下41例(23%)
握力が、骨格筋指数と骨格筋密度の両方と関連していた。
術後肺炎:握力低下患者の8例(20%)vs正常患者のうち4例(4%)で生じた(p = 0.006、コクラン=アーミテージ検定)。
術後人工呼吸期間の遷延:握力低下の11例(27%)vs正常の11例(12%)で生じた(p=0.036)
入院日数中央値:握力低下は9日、握力正常は7日(p = 0.005; Kruskal-Wallis Test)
自宅退院できなかった症例:握力低下で15例(37%)、握力正常で8例(9%)(p<0.001)
術後90日後の死亡率:握力低下で4例、握力正常で0例(p=0.004)
1年後の死亡率:1年間フォローできた158例のうち、握力低下で18例(46%)、握力正常で6例(7%)(p=0.001)
【考察】
術前握力は、術後肺炎、入院日数、自宅以外への退院、術後死亡率を強く予測した。