2023/05/23

身体機能(歩行速度)低下を予測する5回起立のカットオフ 12.8秒

Cut Points of Chair Stand Test for Poor Physical Function and Its Association With Adverse Health Outcomes in Community-Dwelling Older Adults: A Cross-Sectional and Longitudinal Study

J Am Med Dir Assoc (IF: 4.67; Q2). 2022 Aug;23(8):1375-1382.e3.


【目的】
地域高齢者における身体機能低下(5回起立:5STSで評価)を示す最適なカットオフと2年間のフォロー期間での臨床的健康アウトカムの予測ができるかを検討する事。

【対象】
横断的、縦断的分析を実施したコホート研究。
横断的にはn=2977、2年間のフォロー解析には=2515が参加。
韓国のフレイル・加齢コホートスタディ(the nationwide Korean Frailty and Aging Cohort Study (KFACS))に参加している70-84歳。

【方法】
階層回帰木分析(Classification and regression tree (CART) analysis)で歩行速度が遅いことで定義づけた(gait speed ≥1.0 m/s, gait speed >0.8 m/s and <1.0 m/s, gait speed ≤0.8 m/s)身体機能低下を予測する5STSのカットオフを算出。
多変量ロジスティック回帰モデルで歩行速度低下と発生を評価し、5STSの3つのカテゴリー(普通、中等度、悪い)による臨床アウトカムを横断的・縦断的に解析。

【結果】
歩行速度が≦0.8m/sは、9.0%、≦1.0m/sは32.1%。
CARTモデルで、中等度の身体機能低下を予測する5STSのカットオフは10.8秒、身体機能の低下がより顕著(悪い)のは、12.8秒。
調整したモデルにて、12.8秒のカットオフは、2年間のフォロー期間での歩行速度低下の発生や臨床的健康アウトカムの転帰(活動制限、フレイル、サルコペニアリスク、転倒など)の発生とリスクが大幅に増大していた。

【考察】
身体機能低下を予測する5STSのカットオフを算出した。
10.8秒と12.8秒が基準であり、身体機能障害のリスクを見つけるのに役立つかもしれない。
したがって、地域医療において、予防介入デザインに役立つであろう。