2023/04/28

COPD急性増悪後の運動耐容能回復と大腿四頭筋力に相関

Respiratory and peripheral muscle strength influence recovery of exercise capacity after severe exacerbation of COPD? An observational prospective cohort study

Heart Lung (IF: 2.21; Q4). 2023 Mar-Apr;58:91-97.


【背景】
COPD急性増悪(AECOPD)患者において、運動耐容能低下は数か月続くかもしれない。
筋力と運動耐容能の回復の関連についてはあまり知られていない。

【目的】
AECOPDで入院した患者における呼吸および骨格筋力は運動耐容能の回復を促進するかを検討する事。

【方法】
27人のAECOPD患者(69歳、56%男性)。
入院後24-72時間以内に評価を実施。
1)最大吸気圧と呼気圧(MIP、MEP)
2)骨格筋力(握力、大腿四頭筋力)
3)運動耐容能(6MWT)
6MWDは運動耐容能の回復度合いを評価するために30日後に再評価した。

【結果】
30日後、63%の患者が6MWDのMCID以上(30m以上)の改善を示し、37%は改善しなかった(30m未満の改善)。
入院中、回復しなかったグループは、回復したグループよりも大腿四頭筋力が弱かった(15 ± 5 vs. 22 ± 6 kgf; P = 0.006)。MIP、MEP、握力は著明な違いはなかった。
大腿四頭筋力のみが運動耐容能回復と関連していた(r = 0.56; P = 0.003)

【考察】
入院中の大腿四頭筋力が弱いAECOPD患者は、30日後の運動耐容能の改善が乏しかった。
AECOPD患者の回復を促進するために、早期から大腿四頭筋力の改善が重要であることを示唆した。

2023/04/27

不活動を予測する4m歩行速度のカットオフは1.07m/s

Four-meter gait speed predicts daily physical activity in patients with chronic respiratory diseases

Respir Investig (IF: 1.64; Q2). 2019 Jul;57(4):368-375.


【背景】
身体活動測定は慢性呼吸器疾患の予後を評価するために有効である。4m歩行速度(4MGS)は高齢者において、確立した身体機能評価である。
しかし、慢性呼吸器疾患における4MGSと身体活動の関係については、十分理解されていない。
この研究の目的は、4MGSが身体活動(身体活動レベル:PAL)を予測するかを検討する事。

【方法】
57例の慢性呼吸器疾患患者(ILD、COPD)。
4MGSと臨床パラメーター(肺機能、6MWT、加速度計で評価した身体活動)との相関を検討。
直線回帰分析で、身体活動の予測として同定できるかを検討した。

【結果】
4MGSは6MWTと同じように、1日の歩数、PALと相関(r = 0.477, p < 0.001; r = 0.433, p = 0.001; and r = 0.593, p < 0.001)
多変量直線回帰分析において、4MGS、%FEV1.0、BMIは、PALの独立した予測因子であった。
不活動PALを予測する4MGSのカットオフは1.07m/s未満であった(area under the curve, 0.728; 95% confidence interval, 0.589-0.866)。
4MGSがより遅い患者は、mMRC息切れスケールや酸素化などが同様であるにもかかわらず、歩行速度が速い患者よりも身体活動が低かった。

【考察】
4MGSは、簡便なスクリーニングテストであり、身体活動が低い慢性呼吸器疾患患者を予測するのに有効である。

2023/04/26

急性期病院、超高齢患者への運動介入は安全で有効である。

Effect of Exercise Intervention on Functional Decline in Very Elderly Patients During Acute Hospitalization: A Randomized Clinical Trial

JAMA Intern Med (IF: 21.87; Q1). 2019 Jan 1;179(1):28-36.


【背景】
機能低下は、高齢の急性入院期間に生じやすい。運動と早期リハビリプロトコルは急性期入院中の高齢患者において機能面と認知面の低下を予防できる。

【目的】
革新的な複数の項目からなる運動介入がこれらの患者に有効かを検討する事。

【方法】
単施設単盲検ランダマイズトライアル。
2015-2017年にスペインの急性期ユニットを持つ病院(tertiary public hospital)で実施。
370人の急性期病院に入院した超高齢患者をランダムに運動とコントロール(通常ケア)に分けた。
Intention To Treat解析を実施。

【介入】
プライマリーエンドポイントはベースラインから退院時までの身体機能評価の変化。評価項目は、Barthel Index、SPPB。
セカンダリーエンドポイントは、認知機能、感情機能の状態、QOL、握力、せん妄の発生、入院日数、転倒、退院後転院(transfer after discharge)、退院3か月後の再入院と死亡。

【結果】
370人の患者が解析対象。209人が女性(56.5%)。
平均年齢87.3歳。
中央値入院日数は両グループとも8日。
介入日数は中央値5日:患者当たりの介入は平均で午前に5セッション、午後に4セッション。
運動プログラムは、通常ケアよりも有効であることを示した。
退院時、運動グループでは通常ケアと比較して、SPPBで2点高く、Bathel Indexで6.9点高かった。
入院によって身体機能障害が引き起こされた通常ケアグループは、退院時Bathel Indexが平均5点低下していた。一方、運動介入では、この傾向と逆を示した(+1.9点)
介入は、SPPBスコアも改善(2.4ポイントvs0.2ポイント)
認知機能レベルにおいても、通常ケアよりも運動介入したほうが1.8ポイント良好であった。

【考察】
急性期病院に入院した超高齢患者に対する運動介入は、安全であり、入院に関連した機能低下に抗う効果が示された。


-介入内容-
・通常ケア:リハビリは必要時に実施。
・運動介入群:1日2セッション(午前、午後、20分)週末を含め5-7日間連続して実施。
運動プログラムは、vivifrailを採用。
 午前のセッションでは、個別のレジスタンストレーニング(マシンを使用、1RMの30-60%、8-10回を2-3set)、バランス、歩行。
バランスや歩行は、徐々に難易度を上げながら実施。(セミタンデム、直線歩行、ステップ練習、小さい障害物を置いての歩行、不安定な場での練習)
 午後のセッション:非監視下での運動(0.5-1.0kgの重りとハンドグリップ使用)。膝伸展/屈曲、股関節外転、歩行。


-評価-
Barthel Indexは入院2週間前と退院時に評価。
認知機能:MMSE、感情機能:15-item Yesavage Geriatric Depression(抑うつ) Scale
EQ5D、握力。