JAMA Intern Med (IF: 21.87; Q1). 2019 Jan 1;179(1):28-36.
【背景】
機能低下は、高齢の急性入院期間に生じやすい。運動と早期リハビリプロトコルは急性期入院中の高齢患者において機能面と認知面の低下を予防できる。
【目的】
革新的な複数の項目からなる運動介入がこれらの患者に有効かを検討する事。
【方法】
単施設単盲検ランダマイズトライアル。
2015-2017年にスペインの急性期ユニットを持つ病院(tertiary public hospital)で実施。
370人の急性期病院に入院した超高齢患者をランダムに運動とコントロール(通常ケア)に分けた。
Intention To Treat解析を実施。
【介入】
プライマリーエンドポイントはベースラインから退院時までの身体機能評価の変化。評価項目は、Barthel Index、SPPB。
セカンダリーエンドポイントは、認知機能、感情機能の状態、QOL、握力、せん妄の発生、入院日数、転倒、退院後転院(transfer after discharge)、退院3か月後の再入院と死亡。
【結果】
370人の患者が解析対象。209人が女性(56.5%)。
平均年齢87.3歳。
中央値入院日数は両グループとも8日。
介入日数は中央値5日:患者当たりの介入は平均で午前に5セッション、午後に4セッション。
運動プログラムは、通常ケアよりも有効であることを示した。
退院時、運動グループでは通常ケアと比較して、SPPBで2点高く、Bathel Indexで6.9点高かった。
入院によって身体機能障害が引き起こされた通常ケアグループは、退院時Bathel Indexが平均5点低下していた。一方、運動介入では、この傾向と逆を示した(+1.9点)
介入は、SPPBスコアも改善(2.4ポイントvs0.2ポイント)
認知機能レベルにおいても、通常ケアよりも運動介入したほうが1.8ポイント良好であった。
【考察】
急性期病院に入院した超高齢患者に対する運動介入は、安全であり、入院に関連した機能低下に抗う効果が示された。
-介入内容-
・通常ケア:リハビリは必要時に実施。
・運動介入群:1日2セッション(午前、午後、20分)週末を含め5-7日間連続して実施。
運動プログラムは、vivifrailを採用。
午前のセッションでは、個別のレジスタンストレーニング(マシンを使用、1RMの30-60%、8-10回を2-3set)、バランス、歩行。
バランスや歩行は、徐々に難易度を上げながら実施。(セミタンデム、直線歩行、ステップ練習、小さい障害物を置いての歩行、不安定な場での練習)
午後のセッション:非監視下での運動(0.5-1.0kgの重りとハンドグリップ使用)。膝伸展/屈曲、股関節外転、歩行。
-評価-
Barthel Indexは入院2週間前と退院時に評価。
認知機能:MMSE、感情機能:15-item Yesavage Geriatric Depression(抑うつ) Scale
EQ5D、握力。