Chest (IF: 9.41; Q1). 2020 Jun;157(6):1665-1673.
【背景】
NSCLCで中等度肺機能の低下している患者に、肺切除術を行うかについての意思決定を行うための6MWTのリスク層別化の値については解明されていない。
【目的】
中等度肺機能の低下しており、肺葉切除術を行ったNSCLC患者の術後心肺合併症を予測するための6MWTの役割について検討することを目的とした。
【方法】
前向きコホート研究(Coordinate Approach to Cancer Patient's Health for Lung Cancer (CATCH-LUNG))
葉切除を行った患者を術後肺機能の予測値で2グループ(低リスク・中高リスク)に分けて、それぞれのグループにおいて、さらに6MWTで短距離(400m未満)と長距離(400m以上)に分けた。
主なエンドポイントは、術後30日以内の心肺合併症の発生。
多変量ロジスティック回帰モデルにて4グループの術後合併症を比較した。
【結果】
調整されたオッズ比において、中リスク/短距離グループの術後心肺合併症は、低リスク/長距離グループと比べ、呼吸器合併症:10.26倍 (95% CI, 2.37-44.36)、循環器合併症5.65倍 (95% CI, 1.39-22.90)、心肺合併症7.84倍 (95% CI, 2.24-27.46)。
しかし、中リスク/長距離と低リスク長距離の間には、合併症発生リスクの違いはなかった。
中リスクグループの患者において、短距離グループに層別化された患者は、長距離と比べて術後心肺合併症のリスクが高い(adjusted OR, 4.95; 95% CI, 1.37-17.93).
【考察】
中リスク/短距離の患者が最も術後合併症のリスクが高かった。
しかし、NSCLCで中リスク/長距離の患者は、低リスク/長距離の患者と比べて、葉切除術を行うことが可能かもしれない。
今回の結果は、6MWTが、NSCLCで肺切除術を行うかどうか、最適な候補を見つけるために追加の情報を提供することを示唆した。