Aging Clin Exp Res (IF: 3.64; Q3). 2022 Oct;34(10):2449-2456.
【背景】
5回起立テスト(5CTS)はサルコペニア診断において、身体機能と筋力評価の代理指標として用いられる。
2019年のサルコペニアアジアワーキンググループのガイドラインは、歩行速度評価するために5CSTを推奨している一方で、ヨーロッパのワーキンググループガイドラインにて5CSTが筋力の代理指標として推奨されている。
【目的】
起立テストが握力、歩行速度と相関しているが、これらの関係に性別による差はないのかについて検討した。
【方法】
2017年の韓国フレイル・高齢者コホート研究(KFACS)に参加していた1416人(男性678人)のデータを使用。
【結果】
5CST時間は、歩行速度(r = - 0.470)、握力(r = - 0.309)と高い相関を示した。
加えて、5CST時間は歩行速度が遅いことを予測(area under the curve [AUC] 0.727)し、握力(AUC 0.641)よりも良好な結果であった。
歩行速度が遅い患者を予測する最適なカットオフは男性10秒 (sensitivity 62%, specificity 64%) 、女性で11秒(sensitivity 68%, specificity 67%)であった。
握力が弱いことを予測する5CST時間の最適なカットオフ値も、上記と同様であった(男性1秒、女性11秒)
【考察】
5CSTは歩行速度や握力と関連していたが、握力よりも歩行速度の方がより良い関連を示した。
歩行速度が遅いことや握力右㎏左㎏の低いことを推定する5CSTのカットオフは、女性よりも男性で低かった。
しかし、AWGS2019 やEWGSOPのガイドラインでは、5CSTの性別によるカットオフ値は示されておらず、次のガイドラインにおいて考慮が必要である。