2022/10/23

COPDの動作時低酸素血症と身体活動の関係 Int J COPD 2019

Physical Activity in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease on Long-Term Oxygen Therapy: A Cross-Sectional Study

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis (IF: 2.77; Q1). 2019 Dec 5;14:2815-2823.


【背景】
長期酸素療法(LTOT)を行ってるCOPD患者の身体活動に関して評価した研究は少ない。
目的は、LTOTを行っており、低酸素血症のあるCOPD患者の身体活動を評価する事。

【方法】
横断研究
肺機能、動脈血ガス、呼吸筋力、骨格筋力、6MWD、1日の消費エネルギー、歩数、健康関連QOLを評価。
LTOTを行っているCOPDグループ(LTOT)と、
2つのコントロールグループ:
 動作時低酸素があるがLTOTは行っていないグループ(HYPOX)
 動作時低酸素血症の無いCOPDグループ(COPD)に分けて比較。
(LTOT vs HYPOX、LTOT vs COPDで比較している)

【結果】
グループ間の患者背景、体格、骨格筋、呼吸筋力に差はなかった。
他のグループと比べ、LTOT患者は、重症の気流閉塞や肺過膨張があり、併存疾患の数や重症度が高く、6MWDが短く、6MWT中の最低SpO2も低く、QOLも悪い。
LTOT患者は、COPDと比べ、1日の消費エネルギーが少なく、3.0METs以上の時間が短く、座っている時間が長い。また、歩数はLTOTグループが少ない。
LTOT vs HYPOXで、身体活動に関するパラメーターの著明な違いはなかった。
LTOT患者において、歩数は、6MWDと強く相関しており、気流閉塞や酸素化の程度、併存症、QOLとは中等度の相関。骨格筋や呼吸筋力は相関なし。
COPDとHYPOX患者では、歩数は6MWDと酸素化(P/F ratio)と強く相関。
6MWD中の平均SpO2と6MWDはどのグループでも相関していなかった。

【考察】
LTOTを行っているCOPD患者は、動作時低酸素の有無に関わらず、LTOTを必要としない患者よりも身体活動が少なかった。
動作時低酸素のある患者では、低酸素の無い患者よりも身体活動が少なかった。

・慢性的に低酸素血症のあるCOPDにおいては疾患の進行や酸素療法(LTOT)が必要となるなど身体活動が著明に低下する要因がある
・低酸素血症の是正は生理学的な改善をもたらすが、社会からの孤立や不活動など生理学的、社会的な問題と関連するかもしれない
・現時点で、運動誘発性低酸素血症や酸素供給デバイスの負担が身体活動にもたらす影響についての情報はない

・仮説:LTOTを行っているCOPD患者は、LTOTが必要ない患者よりも身体活動が少ない

・適格基準:年齢40-85歳、男女、COPDと診断されている、離床的に安定している(pH-7.38-7.42、過去1週間に薬剤の変更が無い)
・除外基準:過去6カ月以内に呼吸リハプログラムを行っている、PAに減少に関連する整形・神経疾患、認知機能障害、精神障害

・患者を3グループに分けた
1.長期酸素グループ(LTOT):過去3カ月間、24時間LTOTを行っている。酸素デバイスは、安静時は液体酸素、移動時はポータブルデバイスとカートを使用
2.低酸素グループ(HYPOX):6MWTにて動作時低酸素があるが、LTOTが必要ない
3.COPDグループ(COPD):6MWTにて動作時低低酸素が無く、LTOTが必要ない

・評価項目
性別、年齢、BMI、並存症の数(CIRS)、並存症指数(CI)、重症度(SI)
LTOTグループのみは、いつLTOTを始めたか、運搬方法、安静時と動作時の酸素流量
動作時低酸素の定義:6MWT中のSpO2が90%未満へ4%低下、もしくは、テスト中の平均SPO2が88%未満。LTOTグループは、いつも使用しているデバイスと酸素流量でテストを実施
そのほかの評価項目:最大吸気/呼気筋力、大腿四頭筋力、上腕二頭筋力、身体活動(Sense Wear Armbandを右上腕中間位に装着)
・身体活動計測は、週末を含めた連続3日、20時間以上装着できていた日が解析対象
・身体活動の内容:平均エネルギー消費、平均歩数、平均中等度活動時間(3METs以上)、平均安静時間(1.5METs以下)、平均睡眠時間と臥位時間
・QOLはEQ-5DとEQ-5D-VASを使用

各グループの1日の歩数
HOTを導入すると、歩数が有意に減少していた

HOT機器で消費カロリーに違いが生じていた
通常の携帯型ボンベと酸素カートとの比較