2022/05/01

周術期肺がん患者の身体活動 -SR-

Physical activity in surgical lung cancer patients: a systematic review

Support Care Cancer (IF: 3.6; Q3). 2022 Apr 6.


【目的】
周術期運動療法は、肺がんの手術を行った患者の健康アウトカムを改善させる。しかし、運動介入前の通常の身体活動(physical Activity:PA)行動はあまり知られていない。
このレビューの目的は、1)身体活動ガイドラインからみた患者の割合、2)PAの量、3)手術後のPAの軌跡、4)手術前や後のPAとの関連について、エビデンスを集約すること。

【方法】
2021年7月にPubMedなどのデータベースを使用してシステマティックレビューを実施。
肺がんの手術前/後のPA測定をした観察もしくは介入研究が対象。
NIH Quality Assessment Toolsと標準化された形式を使用して抽出されたデータを使用して方法の質を評価。

【結果】
17件の研究が2009年から2021年の間に採択された(25文献、N=1737)。
14の研究がサンプルサイズが100以下。
13の研究が公正(fair)な質、4件の研究は良好(good)な質。
・肺がん術後(6か月から6年)のPAで、PAガイドライン(中等度から高度のPAを150分/週)を満たした患者は、23-28%のみ。
・歩数:術前の平均が3822-10603歩、術後1-3か月の歩数は、平均3934-8863歩。
・術前PAレベルと比べて、術後1日-3か月のPAは低い。
・周術期PAは運動耐容能、QOL、術後合併症の少なさと正の相関を認めた。

【考察】
PAは肺がん周術期患者では低いことが示唆され、術後3か月以内に回復しないかもしれない。
身体活動は、術後アウトカムの改善させる可能性がある。
しかし、現在のエビデンスは弱く、将来の大規模縦断研究が必要である。