2022/03/21

神経筋電気刺激で最適な刺激を加えるためのプロトコル

Development of the Protocol to Deliver Graded Stimulation Intensity on Lower Limbs Using Belt-shaped Electrode Skeletal Muscle Stimulation

Prog Rehabil Med . 2021 Jun 5;6:20210024. 


【目的】
現在ベルト型電極式骨格筋電気刺激(B-SES)を含む神経筋電気刺激(NMES)は発展しており、1回のセッションで下肢全体の筋収縮を行うことができる。
刺激の最適な量は、NMESにとって重要である。
臨床的な目的において、十分な筋収縮を得るために必要なB-SESの刺激強度を決める方法の確立を行った。

【方法】
B-SESデバイスであるAuto Tens Proを使用。
刺激は5秒の20Hzの刺激と、2秒安静。
24人の骨格筋疾患で入院している患者を2つの病院でリクルート。
患者はランダムに3種類の刺激強度(moderate,strong,very strong)に割り付けられた。
セラピストが目標の刺激レベルを行えるように、それぞれの目標強度に達するための、口頭指示プロトコルを構築した。
筋収縮の生理学的評価として、血清乳酸レベルを20分のB-SESセッションの前後に評価。

【結果】
目標の主観的筋収縮を達成するために必要な電流強度は、主観的収縮レベルに応じて徐々に増加した。
血清乳酸レベルは、moderateと比べてvery strongの方が有意に高かった。

【考察】
B-SES刺激は、骨格筋疾患患者の筋力増強に有効である可能性がある。
口頭指示のプロトコルはセラピストが患者ごとの最適な刺激強度を達成することを補助する。

・対象:60歳以上の骨格筋疾患で入院している患者。ベッド安静を強いられたことによる筋力低下のリスクがある患者。
・評価:膝伸展筋力、5回起立

・B-SESの設定
オートテンスプロの"廃用モード"を使用。20Hzを5秒+2秒安静で構成されている。
試験実施前に、患者が刺激になれるよう3回のテストセッションを設けた。

・30分ベッド安静後、20分のセッションを実施。

・プロトコル
1.患者により高い刺激を加えることで、筋力向上が得られる可能性があることを説明。
2.刺激開始後、患者が耐えられる限界であるかを患者に尋ねながら刺激を加える。
3.患者が刺激に20分耐えられないと申し出た強度をvery strongと定義。刺激は徐々に減らしていく。
4.strongグループに割り付けられた患者は、さらに刺激を弱める。刺激が強いが、20分は耐えられる強度を"strong"と定義
5.moderateグループは、さらに刺激を弱め、20分耐えるのが簡単と感じるレベルまで刺激を弱める。

・対象疾患:TKA、脊椎減圧、下肢骨折、脊椎骨折
入院もしくは手術から電気刺激開始までの日数:42.8日

刺激強度


NMES前後での乳酸の変化