Eur J Cardiothorac Surg (IF: 4.19; Q2). 2016 May;49(5):1483-91.
【目的】
2週間の吸気筋トレ(IMT)が肺切除術後ハイリスク患者において呼吸筋力を向上させるか。
2つ目に、術後肺合併症の発生に対しての影響について検討すること。
【方法】
単施設、平行グループ、検査者ブラインドの無作為化試験、Intention-to-treat解析。
介入群(IG,n=34):術後2週間のIMT、1日2回、2×30呼吸、最大吸気圧の30%強度。加えて標準的な理学療法。
コントロール群(CG,n=34):標準的な理学療法(呼吸練習、運動、咳嗽、早期離床)
評価:呼吸筋力(最大吸気/呼気圧、MIP/MEP)、身体機能(6MWT)、肺機能、SPO2
評価のタイミング:手術前日、術後3-5日後、2週後
術後肺合併症:術後2週間で評価
【結果】
平均年齢70±8歳、57.5%男性
開胸が48.5%(n=33)
どの評価タイミングでも、MIP、MEP、肺活量、運動機能に効果なし。
全体で肺炎が13%(n=9)に発生。グループ間に発生率の有意差なし。
術後3日目と4日目にIGにおいて、SpO2 の値が有意に向上。
術後2週後の両グループの比較において、術式(開胸vs胸腔鏡)と呼吸筋力に関連は見られなかった。
【考察】
術後2週間IMTを付加すると。標準的な理学療法のみと比べて、呼吸筋力の増強は認めなかったが、肺がん術後のハイリスク患者の酸素化を改善した。
呼吸筋力は、術後2週間で両グループとも回復した。