JAMA (IF: 56.27; Q1). 2016 Jun 28;315(24):2694-702.
【背景】
ICUでの身体的リハビリテーションは、急性呼吸不全患者のアウトカムを改善させるかもしれない。
【目的】
急性呼吸不全患者に対して、ICUでの通常ケアと、標準化されたリハビリ(standardized rehabilitation therapy ; SRT)を比較すること。
【方法】
ノーズカロライナ州のWake Forest Baptist Medical Centerで行われた。
単施設、ランダム化試験。
急性呼吸不全でICUに入院し、人工呼吸が必要になった成人患者(平均年齢58歳、女性55%)が対象で、ランダムに、標準ケア(SRT、n=150)、通常ケア(n=150)に分けた。
【介入】
SRTグループ:退院まで毎日治療をした。
他動的ROMex、理学療法、漸増レジスタンストレーニング。
通常ケアグループ:臨床チームから要請があってから、平日に理学療法を実施。
SRTグループの介入日数は、他動的ROMexが中央値8日(IQR5-14)、理学療法は5日(3-8日)、漸増レジスタンストレーニングは3日(1-5日)
通常ケアグループで、理学療法を行った日数の中央値は1日(0-8日)
【主なアウトカムと評価】
評価のタイミング:ICU入室時、退院時、2.4.6ヶ月後
プライマリーアウトカム:入院日数(LOS)
セカンダリーアウトカム:人工呼吸器装着日数、ICU日数、SPPBスコア、SF-36、Functional Performance Inventory (FPI) score,、MMSE、握力、ハンドヘルドダイナモメーターの筋力
【結果】
300人をランダム化
LOS:SRTグループ10日(6-17日) vs 通常ケアグループ10日(7-16日)
人工呼吸器装着日数とICU日数は、グループ間で差はなし。
6ヶ月後に差がなかった項目:握力、ハンドヘルドダイナモメーターの筋力、SF-36精神ドメイン、MMSEスコアに差はない
6ヶ月後にSRTグループが高かった項目:SPPBスコア(difference, 1.1 [95% CI, 0.04 to 2.1, P = .04)、SF-36身体ドメイン(difference, 12.2 [95% CI, 3.8 to 20.7], P = .001)、FPIスコア (difference, 0.2 [95% CI, 0.04 to 0.4], P = .02).
【考察】
急性呼吸不全でICUに入院した患者において、SRTは、通常ケアと比べてLOSを短縮しなかった。
・SRTプロトコル
運動の種類:他動的ROMex、理学療法、漸増抵抗運動
他動的ROMex:上下肢の関節を5回ずつ動かす。
理学療法:離床、移乗練習、バランス練習
抵抗運動:背屈、膝屈伸、股関節屈曲、肘屈曲伸展、肩屈曲。抵抗はセラバンドを使用。
頻度:リハビリチーム(PT、nurse、看護助手)によって、週7回、入院中毎日、セッションを3回にわけて介入
理学療法と抵抗運動は患者の達成できるようなレベルで実施。
患者が耐えられない場合は、3セッションとも他動的ROMexのみ。