2021/12/22

がん患者の予測アウトカムとしての身体機能評価

Physical performance measures for predicting outcome in cancer patients: a systematic review

Acta Oncol (IF: 4.09; Q3). 2016 Dec;55(12):1386-1391.


【背景】
がん治療の意思決定は、挑戦的であり、これら意思決定を支持できる臨床パラメーターが必要である。
身体パフォーマンスは、健康状態を反映することができる。このシステマティックレビューでは、身体パフォーマンステスト(Physical Performance Test:PPTs)が、がん患者の治療耐性や臨床アウトカムの予測となるかを検証した。

【方法】
2015年4月にデータベースを検索。PPTs測定とアウトカムの関係を調べた研究が対象。
言語や発行日の制限は適応しなかった。

【結果】
9680の文献がヒット。様々ながんのタイプ、異なる治療を行った16文献、4187人の患者が対象。
中央値or平均年齢は58-78歳。
9つの文献でTUG、5つの文献でSPPB、5つの文献で歩行速度に注目。
TUG、SPPB、歩行速度の結果が悪いと、生存率の低下と関連していた。
さらに、2つの文献で、TUG、SPPBのアウトカムの悪化は、機能低下の割合が高いことと関連していた。

【考察】
PPTsは、生存率と著明に関連しており、これらのテストは高齢患者の予測ツールとして有用である。治療に関連する合併症と機能低下については、あまり明確ではない相関関係がみられた。
最適な意思決定のために、今後の研究ではがん関連・治療関連の妥当性に加えて、PPTsを治療アルゴリズムに組み込んで妥当性や効果を検証すべきである。

・治療合併症について
5文献中4つで治療関連の合併症と身体パフォーマンスとの関係を報告。
2つ文献でTUGと関連。
SPPBを使用した文献のうち3つのうち2つで、単変量解析を行い、最終的に歩行速度が治療関連合併症と関連していた。

地域高齢者を対象とした研究で、歩行速度が1.36m/sより遅くなると、死亡を含む健康状態の悪化と関連していた。
さらに、身体パフォーマンスの低下は、身体活動低下の悪循環となるかもしれず、デコンディショニングを反映しているかもしれない。

今回の対象としたパフォーマンステストが、活動性と関連しているだけでなく、握力や運動耐容能テストのようなツールも含めて、パフォーマンステストとなりえるかどうか今後検討が必要である。