2021/11/06

TKAの理学療法管理 clinical practice guideline

Physical Therapist Management of Total Knee Arthroplasty

Physical Therapy, Volume 100, Issue 9, September 2020, Pages 1603–1631,


TKAに関するクリニカルプラクティスガイドラインをアメリカ理学療法士のボランティアによって作成された。
現在のシステマティックレビューと臨床情報に基づいて作成している。

【対象患者】
成人TKA初回TKA患者を対象にした管理を記載している。
再置換術や部分置換術、小児患者、リウマチ患者の管理については意図していない。さらに、手術を行わない患者に対しての管理についても含まれていない。

推奨レベルのサマリー
<強く推奨>
運動機能トレーニング(バランス、歩行、活動、対称性):PTはバランス、歩行、活動対称性を含むトレーニングを行うべき。

<中等度の推奨>
術前運動プログラム:筋力や柔軟性に関する運動を指導すべき
CPMデバイス:初回や合併症の無いTKAに使用すべきでない
寒冷療法:術後早期の疼痛管理のために寒冷療法の励行を指導すべき
神経筋電気刺激(NMES):大腿四頭筋力や歩行パフォーマンス、アウトカム、患者報告アウトカムの改善のために行うべき
抵抗運動:高強度の抵抗運動を術後早期の期間(術後7日以内)に計画、指導、実施すべき
予測因子(BMI、抑うつ、術前ROM、筋力、年齢、糖尿病、併存疾患、性別):
 BMI高値は術後合併症、アウトカム不良と関連
 抑うつは術後アウトカムの悪化と関連
 術前ROMは術後ROMと正の関連。しかし、身体機能やQOLへの影響は最小限。
 術前身体機能は術後身体機能と関連
 術前筋力は術後身体機能と関連
 年齢は患者報告アウトカム、パフォーマンス評価、機能障害に複合的に関連
 糖尿病は機能的アウトカムの悪化と関連しない
 併存症の多さは、患者報告アウトカムの悪化と関連
 性別は術後アウトカムにポジティブにもネガティブにも関連
術後理学療法:監視下理学療法を行うべき。患者の安全性、活動、環境、個人因子に考慮して行うべき。
術後理学療法のタイミング:術後24時間以内に開始し、退院前まで行うべき
退院計画:PTはケアチームに情報提供を行うべき。身体機能、補助具、サポートサービスの利用について。

<弱く推奨>
術後安静時の膝屈曲:術後早期の出血や腫脹軽減のため、術後7日間は、安静時膝屈曲位(30°-90°)での姿勢を指導
集団or個別介入:集団or個別介入を行うかもしれない

<ワーキンググループの見解、効果が明らかでない項目>
術前教育:入院中に行うこと、退院のために必要な内容、術後リハプログラム、安全な移乗方法、補助具の使用、転倒予防
身体活動:身体活動の適切な進行、安全、耐久性、身体的な反応について指導し、早期離床を行うべき。
術後の膝ROMex:他動、自動介助、自動運動での膝屈曲ROMexを励行すべき
予測因子(喫煙、患者支援):現喫煙者や支援が得られない患者は、機能的に最適ではない結果と関連するかもしれない。
アウトカム評価:患者報告アウトカムにはKOOS、身体機能評価にはTUGを使用。