Anesth Analg (IF: 5.11; Q1). 2021 Aug 1;133(2):314-323.
【背景】
フレイルと術後せん妄(postoperative delirium:POD)は、65歳以上の患者に共通している。しかし、術前フレイルとPODの関係について特徴づけることは難しく、フレイルの数の多さとPOD評価ツールで妥当性のあるものがいくつかしかないためである。
さらに、フレイルとノンフレイルを明確に分けるカットオフが明記されている評価ツールはいくつかしかない。
術前フレイルとPODの関係についてのメタアナリシスを行った。
【方法】
入院し、手術を行い、平均年齢65歳以上の患者において、術前フレイルとPODを比較した研究を探索。
採用基準は、1999年以降の英語論文。
術前フレイルとPODは、フレイルとせん妄の明確なカットオフのあるツールで評価していなければならない。
文献は独立した2名で精査。
バイアスリスクと交絡の存在をまとめた。
PODとフレイルが関連しているオッズ比を算出。
有意水準は、両側5%未満。
【結果】
9件の研究がメタアナリシスの対象となった。
Friedスコアもしくは修正版が5文献にて採用されていた。
フレイルの有病率は18.6%から56%。
せん妄は、7文献でConfusion Assessment Method (CAM) もしくは Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit (CAM-ICU) で評価。
Delirium Observation Scaleが1文献、Intensive Care Delirium Screening Checklistが1文献で採用されていた。
PODの発生率は7%から56%。
バイアスリスクは、1文献で低く、4文献で中等度、3文献で重度、1文献で致命的と指摘された。
フレイルとノンフレイルでのPODのオッズ比は、2.14倍で、95%CI1.43-3.19。
ファネルプロット解析では、出版バイアスの有無を明確に裏付けるものではなかった。
【考察】
今回のメタアナリシスにおいて、65歳以上の周術期患者における術前フレイルとPODに著明な関連があるエビデンスが示された。