2021/10/11

起立テストは、運動能力・感覚・心理状態に影響される

Sit-to-stand performance depends on sensation, speed, balance, and psychological status in addition to strength in older people

J Gerontol A Biol Sci Med Sci (IF: 6.05; Q1). 2002 Aug;57(8):M539-43.


【背景】
起立テスト(Sit-to-stand (STS) )は高齢者の下肢筋力としてよく利用されており、特に低下している。
テスト結果が、バランスや移動能力と関連している要因として影響していることを示唆する報告がある。
今回、高齢者における起立テストが下肢筋力を予測するかに加えて、知覚運動性(sensorimotor)、バランス、精神的要因と関係するかについても検討した。

【方法】
669人の地域在住高齢者が対象。
平均年齢78.9±4.1歳
筋力、視力、末梢感覚(peripheral sensation) 、反応時間、バランス、健康状態、起立テストを評価。
*起立テスト:腕を組んだ姿勢での5回起立時間。椅子の高さは0.43mで肘置きなし。

【結果】
単変量解析にて、起立時間は、多くの身体的・心理的要因と関連していた。
多変量回帰分析にて、視覚コントラスト感覚、下肢固有受容感覚(proprioception)、末梢触覚(tactile sensitivity)、ステップ反応の反射時間、ゴムマット上での動揺、体重、SF-12スコアの疼痛、不安、膝伸展、膝屈曲、足関節底屈筋力は、STS結果の独立した予測因子であった。
これらの評価のうち、大腿四頭筋力が、最も高いβ値を示し、STS結果の分散を説明する上で最も重要な変数であることが明らかになった。
しかし、残りの尺度は、STS時間の説明された分散の半分以上を占めていた。最終的な回帰モデルは、STS時間の分散の34.9%を説明した(multiple R =.59)。

【考察】
地域高齢者において、STSテストは、多数の身体的・精神的な要因に影響しており、下肢筋力の代用というよりも、特定のトランスファースキル(動作スキル?)を表している。