2021/08/22

ILD患者の機能評価で最適なものは、TUGと5回起立

Functional performance tests in interstitial lung disease: Impairment and measurement properties

Respir Med (IF: 3.095; Q1). 2021 Aug;184:106413.


【背景】
ILD患者の身体機能テストにおける障害や評価の詳細に関しての情報は不足している。
目的は、ILD患者のパフォーマンステストの機能障害と評価の詳細について明らかにすること。

【方法】
ILDと健常者で評価を実施。
肺機能、骨格筋力(握力、最大大腿四頭筋力 MIVCq)、6MWT、TUG(通常速度と速歩)、4m歩行速度、30秒起立、1分起立、5回起立、SPPB
機能的パフォーマンスは、グループ間で比較。妥当性(6MWTとMIVCqとの相関)、信頼性(評価者の一致度分析)を評価。

【結果】
76人が参加(ILD40名(女性25名)、健常者36名(女性22名))
ILD患者において、30秒起立を除くすべてのテストで健常者よりも悪い結果であった。
TUG、4m歩行速度、5回起立において、事前に定めた妥当性の基準に近かった(-0.69 < r < 0.55; p < 0.05 for all)。
4m歩行速度とSPPBを除く、すべてのテストで、良好な検者間誤差を示した(0.85 < ICC<0.93; p < 0.05 for all) 
すべてのテストで、良好な信頼性を示した(0.83 < ICC< 0.94; p < 0.05 for all) 。

【考察】
ILD患者は、健常者よりも機能的パフォーマンスが悪化していた。
妥当性と信頼性の結果から、TUG(通常速度と速歩)、5回起立がILDの機能的パフォーマンス評価として、最も最適な評価であった。

2021/08/21

身体機能を維持するのに必要な最低限の運動内容は?"強度が重要"

Maintaining Physical Performance: The Minimal Dose of Exercise Needed to Preserve Endurance and Strength Over Time

J Strength Cond Res (IF: 2.973; Q1). 2021 May 1;35(5):1449-1458.


身体機能(持久力、筋力)の維持のためには最小限の運動が必要である。
ほぼすべての人にとって、運動する時間には限りがある(家族や仕事の影響で)
このような環境においても、身体的な運動の目標は、単純に維持することだろう。(向上するよりも)。同様に、アスリートや軍人など特別な職業の人たちは、長期間パフォーマンスの維持を必要とするかもしれない。
このレビューの目的は、身体的なパフォーマンスを維持するための最低限必要な運動(頻度、量、強度)について検討することである。

持久力同じ強度(心拍数)であれば週2回、運動量33-66%に減少(1セッションあたり13-26分)しても15週以上維持できていた。
筋力と筋肉のサイズ(若年者):同じ強度(負荷量)であれば週1回の筋力セッション、運動あたり1セットで、32週以上維持できた。
一方、高齢者においては、筋力の維持には、運動強度は維持したままで、週2回以上、運動当たり2-3setの運動が必要かもしれない。

アスリートや軍人に特異的な推奨される運動のデータは不足していた。

今回の主な考察は、運動の頻度や回数は減少できても、運動強度は運動パフォーマンスの維持のために重要な項目である。


・持久力ex
HRmaxの90以上で維持可能。
60%まで下げると、運動後の維持が難しい様子。




・筋力ex
8-12RMで維持
最大筋力の50%負荷では維持できず。


2021/08/18

ICU後のCOVID-19患者に対する呼吸リハの効果

Effectiveness of pulmonary rehabilitation in COVID-19 respiratory failure patients post-ICU

Respir Physiol Neurobiol (IF: 1.591; Q2). 2021 May;287:103639.


【背景】
COVID-19患者には、呼吸不全が進行し、ICUの入室が必要な患者がいる。
目的は、COVID-19患者における、ICU後の呼吸リハの効果を検証する事。

【方法】
21人のCOVID-19患者が対象。
呼吸リハ前後に評価を実施。
比較として、COVID-19ではなく、呼吸不全によってICUに入室し、リハビリを行った患者を21名、後方視的に抽出。

【結果】
呼吸リハによって、他のICU後患者よりもCOVID-19患者の方が6MWDが大きく改善した(+205m vs +93m)
ICU後により早く呼吸リハを行った患者の方が、より回復していた。

【考察】
呼吸リハは、ICU後のCOVID-19患者において、機能的に大きな改善を示した。
しかし、身体的、心理的な障害は呼吸リハ後も残存していた。

・フランスの呼吸リハ専門施設での研究
・呼吸リハの内容:呼吸練習、筋力、バランス、歩行、サイクリング、体操
・評価:肺機能、心理評価、筋力、バランス、6MWT(6MWTは呼吸リハ中は毎週評価)

・重症COVID-19患者21人 vs COVID-19ではない呼吸不全患者21名
どちらもICU後からリハビリ開始

COVID-19患者の6MWT結果
抜管した日を0日として毎週評価


2021/08/08

重症から最重症のCOPD患者に吸気筋トレーニングを付加した効果。

Effects of inspiratory muscle training on dyspnoea in severe COPD patients during pulmonary rehabilitation: controlled randomised trial

Eur Respir J. 2018 Jan 25;51(1):1701107. 


吸気筋トレーニング(IMT)を呼吸リハプログラムと合わせて行うことが有効であるか定かではない。
目的は、重症から最重症のCOPD患者において、呼吸リハ中のIMTが息切れを改善させるかを検討すること。

単盲検ランダム化試験。150人の重症、最重症のCOPD患者を呼吸リハ+IMTと呼吸リハのみに振り分け。
評価は、開始時と4週間後に実施。
プライマリーアウトカムは、6MWT後の息切れ(Multidimensional Dyspnoea Profile questionnaire)。
セカンダリーアウトカムは、6MWT終了時の息切れ(Borg scale)とmMRC、最大吸気圧、吸気筋耐久性、6MWT、QOL
すべての解析は、intention-to-treatで行った。

息切れは両グループともに改善していた。しかし、息切れの改善に統計的な有意差はなかった。
IMTを付加した方が、リハ後の最大吸気圧が統計的に有意に改善していた。

今回の、重症から最重症のCOPD患者に対しての検討では、吸気筋トレーニングを付加しても、呼吸リハ単独と比べて、息切れの有意な改善は認めなかった。
しかし、最大吸気圧は、著明に向上していた。