2021/06/03

呼吸介助で排痰量は増加するか -豚での検討-

Effects of Manual Rib Cage Compressions on Mucus Clearance in Mechanically Ventilated Pigs

Respiratory Care August 2020, 65 (8) 1135-1140


【背景】
徒手的な肋骨の圧迫(呼吸介助)は、胸部理学療法手技であり、臨床的によく用いられている。
しかし、人工呼吸患者の気道クリアランスや酸素化の効果に関する科学的なエビデンスはいまだ少ない。

【方法】
麻酔をかけた豚に挿管し、人工呼吸を実施。無気肺の状態を作り出すために、人工粘液を気道内に注入した。
豚はランダムに2グループに分けた。
閉鎖式吸引のみを行うグループ(対照群、7匹)と吸引と合わせて徒手的圧迫を加えるグループ(介入グループ、8匹)。
徒手的圧迫は、呼気の早期のフェーズに強く胸郭の動きに連動して圧迫した。
気道クリアランスと 
酸素化は、介入後に評価。
血行動態の経時的変化を介入後に評価。

【結果】
徒手圧迫中、平均呼気フローは、44±7L/min上昇。対照グループは31±7L/min(P < .001). 
徒手圧迫と吸引の併用は、吸引単独と比べて気道クリアランス(排痰量)が向上した(5.5 [3.4–9.4] g vs 0.7 [0.5–2.0] g; P = .004))
しかし、ガス交換や画像上の変化はみられなかった。
また、結構動態の違いも見られなかった。

【考察】
短時間の胸郭圧迫は、閉鎖式吸引と併用することで、安全に気道クリアランスの向上が得られた。
しかし、酸素化や換気に関する影響は見られなかった。