2021/06/22

COPD増悪を経験した患者に対しての身体活動コーチングと生存率への影響

Effect of Physical Activity Coaching on Acute Care and Survival Among Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Pragmatic Randomized Clinical Trial

JAMA Netw Open (IF: 5.032; Q1). 2019 Aug 2;2(8):e199657.


【背景】
身体不活動はCOPDのアウトカムの悪化と関連している。しかし、急性期ケアにおける身体活動(PA)の介入による生存率改善への影響は報告されていない。
目的は、COPD患者に対して、地域でのPAコーチングの長期効果を検討する事。

【方法】
ランダム化比較試験。
12か月の介入(Walk On!:WO群)vs通常ケア(SC)
対象は、40歳以上で過去12か月にCOPD関連で救急治療を行った患者。WO群の患者のみ、活動への介入を行った。
プライマリーアウトカム:全原因の入院、観察期間、救急受診、死亡
セカンダリーアウトカム:自己報告PA、COPD関連の急性期ケアの実施、症状、QOL、循環代謝マーカー

【結果】
2707人が参加(平均年齢72±10歳、女性53.7%、%FEV1.0 61.0%)。
ランダムにWOとSCに振り分け。
Intention To Treat解析にて、プライマリーアウトカムや個別のアウトカムにおいて、2群間に有意差はなかった(OR1.09、95%CI 0.92-1.28; P = .33)
事前に規定されていた、as-treated解析にて、全SC群と活動介入に参加した患者321人(23.6%)でアウトカムを比較。
傾向スコア加重モデル(propensity score-weighted model)にて、全原因の入院や死亡につちえ、WO群が優れていることは示されなかった。
多くのWO患者が報告したPAでは、SC群よりも活動的であるように心がけていた(47.7%vs30.7%)。6か月時点での10項目の身体的健康の項目で、WO群が改善を示した。
その他のセカンダリーアウトカムに、有意差はなかった。

【考察】
COPD増悪を経験した患者に対してのPAコーチングシステムは、急性期ケア使用や死亡に関する効果は不十分であった。

2021/06/13

気管支拡張症患者における5回起立テストの妥当性と反応性

The five-repetition sit-to-stand test (5STS) in patients with bronchiectasis: validity and reponsiveness

European Respiratory Journal 2020 56: 1830;


【背景】
5回起立(5STS)は下肢機能の評価であり、上肢の支持なしでできるだけ素早く椅子から5回起立を行う時間を測定する。COPDにおける妥当性は報告されているが、気管支拡張症でのデータはない。
目的は、気管支拡張症患者における5STSの妥当性と反応性を評価する事。

【方法】
5STS、シャトルウォーキングテスト(ISW)、MRC息切れスコア、CRQを133人の気管支拡張症患者を対象に、8週間の外来リハビリ前後で評価。

【結果】
ベースライン評価にて、5STSとMRC、ISW、CRQ 疲労感と著明に相関していた(r=0.34, -0.56, -0.23)。
呼吸リハ後、5STS、ISW、CRQ total、MRCは大きく改善。効果量は、0.48, 0.55, 0.25 and 0.39。
5STSの呼吸リハ後の変化は、ISW、CRQ、MRCの変化と関連していなかった。

【考察】
気管支拡張症患者のPRにおいて、5STSは反応しており、効果量は0.48であった。
5STSの変化は、そのほかのアウトカムとは関連しておらず、これまでのPRアウトカム評価の情報を追加することが必要かもしれない。

2021/06/03

呼吸介助で排痰量は増加するか -豚での検討-

Effects of Manual Rib Cage Compressions on Mucus Clearance in Mechanically Ventilated Pigs

Respiratory Care August 2020, 65 (8) 1135-1140


【背景】
徒手的な肋骨の圧迫(呼吸介助)は、胸部理学療法手技であり、臨床的によく用いられている。
しかし、人工呼吸患者の気道クリアランスや酸素化の効果に関する科学的なエビデンスはいまだ少ない。

【方法】
麻酔をかけた豚に挿管し、人工呼吸を実施。無気肺の状態を作り出すために、人工粘液を気道内に注入した。
豚はランダムに2グループに分けた。
閉鎖式吸引のみを行うグループ(対照群、7匹)と吸引と合わせて徒手的圧迫を加えるグループ(介入グループ、8匹)。
徒手的圧迫は、呼気の早期のフェーズに強く胸郭の動きに連動して圧迫した。
気道クリアランスと 
酸素化は、介入後に評価。
血行動態の経時的変化を介入後に評価。

【結果】
徒手圧迫中、平均呼気フローは、44±7L/min上昇。対照グループは31±7L/min(P < .001). 
徒手圧迫と吸引の併用は、吸引単独と比べて気道クリアランス(排痰量)が向上した(5.5 [3.4–9.4] g vs 0.7 [0.5–2.0] g; P = .004))
しかし、ガス交換や画像上の変化はみられなかった。
また、結構動態の違いも見られなかった。

【考察】
短時間の胸郭圧迫は、閉鎖式吸引と併用することで、安全に気道クリアランスの向上が得られた。
しかし、酸素化や換気に関する影響は見られなかった。

2021/06/02

肺がん患者の身体活動評価方法

How is physical activity measured in lung cancer?A systematic review of outcome measures and their psychometric properties


Respirology (IF: 4.88; Q1). 2017 Feb;22(2):263-277. 


肺がん患者の身体活動(PA)は低い。新たなエビデンスでは、PA上昇のために介入することを支持している。
目的は、1)肺がん患者のPA測定のアウトカムの統合と解釈、2)評価するために、これらの評価の心理的な詳細との比較と解釈を行うこと。

文献の採用基準は、患者の活動ベースもしくは患者報告ベースで身体活動を評価しているもの。
目的2)のために、少なくとも1つの心理的指標との比較を行っていること。
二人のレフェリーがバイアスリスクや適格基準を独立して評価。

34件の研究で21の異なるPA評価を行っていた。
17件の研究はパフォーマンスでの評価をしていた。
患者報告型評価で最も用いられていたのは、The Godin Leisure Time Exercise Questionnaire (GLTEQ) であった。

心理的詳細を評価したものは13件あり、活動センサーが最も使用されていた。
バイアスのリスクは低いと判断された。
肺がん患者を対象にしたPA評価が多様であり、研究間で非常に異質な大きな不均一性がみられる。
Delphi processのようなコンセンサスアプローチをもちいることで、より大きなコンセンサスが得られるであろう。

今後の研究では、心理的評価も同様に評価してくべきである。現在、パフォーマンス評価と患者報告評価の両方で、PA評価が行われれるべきである。

GLTEQ:ゴダンの余暇運動アンケート