2021/04/02

TKA術後早期の運動強度による身体機能の比較

Early High-Intensity Versus Low-Intensity Rehabilitation After Total Knee Arthroplasty: A Randomized Controlled Trial

Arthritis Care Res (Hoboken) (IF: 4.056; Q1). 2017 Sep;69(9):1360-1368. 


【目的】
TKA術後4日に開始する高強度のリハビリプロトコル(HI)が、低強度プロトコル(LI)と比べて安全で有効であるかを検討する事。

【方法】
162人の患者(平均年齢63歳、女性89人)をTKA後無作為にHIとLIに振り分け。
HIの主な内容は、漸増抵抗運動、早期荷重運動、活動を行うこと。
両グループとも外来にて週2-3回、11週間(26セッション)実施。
プライマリーアウトカムは、階段昇降テスト(the stair climbing test (SCT))、TUG、6MWT、the Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC)、SF12、膝関節ROM、大腿四頭筋とハムの筋力。
アウトカム評価のタイミングは、術前、術後1,2,3,6,12か月。

【結果】
両グループにおいて、術後3か月、12か月のアウトカムに違いはなかった。
有害事象の発生率も差がなかった。
術後12か月時点で、両グループとも6MWT、TUG、WOMAC、SF12、筋力は向上していた。

【考察】
TKA後、HIもLIも筋力や機能の改善が得られた。
HIはTKA後も安全に行える。しかし、術後早期の段階においては、関節性筋抑制(arthrogenic muscular inhibition )による制限のために効果が限定的であったのかもしれない。

・両グループともトレーニングは術後平均4.2日から開始。
・最初の6週間は週3回、その後の5週は週2回実施。
・両グループとも、教育、移乗練習、歩行、段差昇降、ROMex、回復に焦点を置いた徒手療法、自宅での運動指導を実施。

・高強度の内容
筋トレ:底屈、四頭筋、ハム、股関節内外転、伸展、屈曲の自重トレーニング。8RMをもとに8回を2セット。
歩行:週5回30分歩行。30分歩行を1回達成したら、スイミングやサイクリング、階段など運動の種類を増やした。

・低強度の内容
最初の4週は等尺性収縮とROMを中心に。
ゆっくりと荷重練習を実施。
荷重が難しければ漸増しない。
自重やセラバンドによる抵抗負荷はかけない。
最初の4週間は、ADL以外の活動が制限され、徐々に治療の終了後には30分になるよう、歩行や低強度サイクリングを実施。

高強度トレーニングの内容

運動の漸増基準、活動の処方

低強度運動の進め方

共通の介入内容
自宅での運動