2021/03/13

肺がん術前身体活動と術後身体活動、入院日数は関係するか。

Functional Recovery After Lung Resection: A Before and After Prospective Cohort Study of Activity

Ann Thorac Surg (IF: 3.639; Q1). 2019 Jan;107(1):209-216.


<背景>
術後の回復は胸部外科において重要な指標である。患者の活動モニターは術前後において追跡が可能である。
術前の身体活動、肺切除範囲、術式と、活動量計を用いた入院と外来での身体活動の回復の関係を調査した。

<方法>
前向き観察コホート研究。手術の30日前から術後30日間まで活動量計を装着。
活動量は、歩数で記録。3つのグループに分けた。
術前と術後の身体活動、入院日数(Length of stay:LOS)、術式の関係について、患者背景や臨床特性、手術の詳細を補正した一般化された回帰モデルを用いて評価。

<結果>
66人の患者が参加。平均年齢66.1歳、女性32人
低活動(21人)、中等度活動(27人)、高活動(18人)に分類。
性別、併存症、切除範囲、術式にグループ間に違いはなかった。
年齢、併存症、切除範囲、術式、合併症で補正したモデルにおいて、術前高活動は入院、外来ともに術後の高活動と関連していたが、LOSとは関係なかった。

<考察>
LOSはいくつかの要因で補正後、術前と術後の身体活動とは関連していなかった。
しかし、術前と術後の活動の関係は、年齢や術式、切除範囲やその他の要因に関係なかった。
入院と外来患者において、回復過程をデザインし、介入を行うための枠組みを提供した。

・LOSや合併症、再入院、死亡率のような術後回復に関するアウトカムの研究は盛んにおこなわれている。
・術後の活動が遅くなると、予防可能な合併症を引き起こす可能性がある。さらに、高い身体活動は、QOL向上、慢性疾患の予防、精神障害の予防に関連する。
・この研究の目的は、肺切除術を行った患者の術前と術後の身体活動を測定し、より高い身体活動レベルがLOSを減少させるかについて検討すること。

・2015-2017年に単施設(Virginia Mason Medical Center, Seattle, WA)で行われた観察研究。
・活動量測定には、Fitbit Zipを使用。
→低コスト($50)でバッテリー持ちがよく、記録ができる。足首にストラップで装着。

・歩数を測定し、術前30日間と術後入院期間を含め30日間装着。
・患者報告型の活動量(the Rapid Assessment of Physical Activity (RAPA) questionnaire)も、開始時、術後初回外来時に評価。