2021/03/01

大腿骨頚部骨折術前のアルブミン値が、術後肺炎の予測因子

 Preoperative Serum Albumin Level As A Predictor Of Postoperative Pneumonia After Femoral Neck Fracture Surgery In A Geriatric Population

Clin Interv Aging (IF: 3.023; Q1). 2019 Nov 13;14:2007-2016. 


<目的>
大腿骨頚部骨折は、高齢者に多い。術後肺炎は、致命傷であり、術後の合併症として最も多い。
しかし、低アルブミン血症の患者が術後肺炎の発症しやすさが懸念されているが、検討したものはない。
新たに発症した術後肺炎と低アルブミン血症の関係を検討し、低アルブミン血症が高齢者で大腿骨頚部骨折後の肺炎発症の独立したリスク因子となるかについて検討した。

<方法>
西安市赤十字会医院(中国)で2018年に大腿骨頚部骨折の手術を行った65歳以上の患者
術後30日間の記録を後方視的に検索
術後肺炎のあったグループとなかったグループに分け、臨床的特性を比較。
2項ロジスティック回帰分析にて、患者背景、術前並存症、検査結果、手術要因による術後肺炎のリスク因子を同定した。

<結果>
720人の患者が対象。54人が術後肺炎発症。発症率は7.5%。
術後肺炎患者は、入院日数が長かった。
ロジスティック回帰分析にて術前血清アルブミンレベル(OR5.187)、COPD(OR3.819)、脳卒中の既往(OR3.107)、受傷から手術までの時間(OR1.076)が、術後肺炎発症の独立した予測因子であった。

<考察>
術前の血清アルブミンレベルが、術後肺炎の予測因子であり、COPD、脳卒中の既往、手術までの時間も考慮された。
大腿骨頚部骨折後の手術を行う患者において、術前の血清アルブミンレベルを周術期のモニタリング項目に加えるべきである。