Acute skeletal muscle wasting and dysfunction predict physical disability at hospital discharge in patients with critical illness
Crit Care (IF: 6.407; Q1). 2020 Nov 4;24(1):637.
<背景>
重症疾患から生存した患者は、筋力低下が進行しており、身体機能障害を引きおこす。しかし、早期筋力刺激と退院時の身体機能に関して知られていない。
主な目的は、筋肉の大きさ、筋力の変化をICUで評価し、退院時の身体機能を予測できるかを検証した。
<方法>
単施設、前向き観察研究。敗血症、急性呼吸不全の診断でICUに入院した患者が対象。
大腿直筋(Rectus femoris (RF))と前脛骨筋(tibialis anterior (TA) )を超音波画像にてICU1日目に撮影。続けて、筋横断面積(muscle cross-sectional area (CSA))、筋厚(layer thickness (mT))、エコー輝度(echointensity (EI))を評価。
筋力は、MRC-sumスコアと筋出力(レッグプレス)でICU退室前に評価。
身体機能は、退院時の5回起立(5STS)時間を評価。
<結果>
41人の患者、年齢中央値61歳(IQR:55-68)。男性56%。
入院時SOFAスコアは8.1±4.8.
大腿直筋の横断面積は、1日目から7日目の間に、18.5%(中央値)減少。
大腿直筋のエコー輝度は、最初の7日間で10.5%増加。
退院時、25.7%の患者が、ICU-AWの診断を満たした。
ICU入室後最初の7日間でのRFエコー輝度の変化とICU前の筋出力が、退院時のICU-AWを強く予測した。(AUC=0.912)
ICU退室時の筋出力、年齢、ICU日数は、退院時5STSのパフォーマンスを予測する。
<考察>
ICUで評価した筋肉の変性、特にRFエコー輝度と筋出力において、ICU-AW診断と退院時の5STSで評価された身体機能を予測する。
※筋輝度の上昇が筋内の脂肪組織をはじめとする非収縮組織の増加を反映することがあきらかとなっている。(理学療法学2014)