Physical Activity in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease on Long-Term Oxygen Therapy: A Cross-Sectional Study
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis (IF: 2.772; Q1). 2019 Dec 5;14:2815-2823.
<背景>
いくつかの研究で、長期酸素療法(LTOT)を行っているCOPD患者の身体活動(PA)に関して検証されている。
目的は、LTOTを行っていて低酸素血症のあるCOPD患者のPAを評価すること。
<方法>
横断研究。比較項目は、肺機能、動脈血ガス、呼吸筋力、骨格筋力、6MWT、1日の消費エネルギー、歩数、健康関連QOL。
これを、LTOTありのCOPD(LTOT群) vs LTOT無しで動作時低酸素のあるCOPD(HYPOX群) vs LTOT無しで動作時低酸素のないCOPD(COPD群)で比較
<結果>
グループ間に、患者背景、身体測定値、骨格筋、呼吸筋力に違いはなかった。
LTOT群では、ほかの2群と比べて、重度の気流制限と肺過膨張、併存症の数が多く、重症度が高い、6MWDが短い、6MWT中の最低SPO2が低い、QOL低下していた。
LTOT群は、1日の消費エネルギー量が少なく、COPD群よりも3METs以上の活動時間が短く多くをじっとして過ごしていた。また、歩数が他の群よりも少なかった。
COPD群とHYPOX群で、PAのどのパラメーターも明らかな差はなかった。
LTOT群において、歩数は6MWDと強く相関し、気流閉塞、併存症、QOLと中等度の相関を示した。呼吸筋、骨格筋とは相関を示さなかった。
COPD群とHYPOX群において、歩数が6MWD、酸素化(P/F ratio)と強く相関していた。
どの群でもSpO2 と6MWDに相関はなかった。
<考察>
LTOTをしているCOPD患者は、低酸素血症の有無に関わらず、LTOTをしていない患者よりも身体活動量が少なかった。
動作時低酸素血症のある患者は、低酸素血症がない患者よりも身体活動は少なかった。
<LTOTの定義、機種>
24時間の酸素療法を3か月以上行っていること
ネーザルカニューラ、液体酸素を使用。患者が運搬するか(stroller)、カートで牽引(trolley)する方法?で運搬
<評価項目>
動的・静的肺容量:ボディプレチスモグラフィ
運動耐容能:6MWT
動作時低酸素の定義:テスト中に4%以上低下し、SpO2<90%となる、もしくは平均SpO2が88%未満。
LTOT群は、通常の酸素流量と運搬方法でテストに参加。
呼吸筋力:最大吸気筋MIP、呼気筋MEP
大腿四頭筋力、上腕二頭筋力:ハンドヘルドダイナモメーター
身体活動量:Sense wear arm band2を使用し、1回の週末を含めた3日間連続で測定。
QOL:EQ-5D、EQ-5D VAS
・歩数と6MWDに強い相関
⇒先行研究より、重症COPDにおいて、併存症、HRQOL、LTOTは、低身体活動レベルの独立した予測因子である。
・動作時低酸素血症の有無でPAに違いはなかった
⇒酸素を使いながら運動療法を行った先行研究で、プラセボと比較して、運動耐容能とQOLに大きな改善を認めなかった。運動刺激が酸素飽和度を圧倒していたかどうかは推測の域を出ない。。
・酸素療法は、低酸素血症のあるCOPD患者の運動耐容能を向上させるかもしれないが、身体活動レベルも改善させるかは明らかでない。
・肺機能とPAに弱い相関を認めた
⇒安静時肺機能からPAを推測することは困難
・身体活動に関する要因は、生活背景、習慣、環境、文化など様々な要因がある
⇒軽度PAを増やすよう介入に焦点を置き、安静時間を減らす