2021/01/17

COPDにおける5回起立の妥当性、MCID

The five-repetition sit-to-stand test as a functional outcome measure in COPD
 
Thorax 2013;68:1015–1020


<背景>
起立は、日常活動にて行われる動作である。5回起立テスト(5STS)は、腕組みした状態で椅子から5回素早く立つ時間を計測して下肢機能を評価できる。5STSは、地域在住高齢者での妥当性は報告されているが、COPD患者でのデータは示されていない。

<目的>
COPD患者における5STSの信頼性、妥当性、反応性を検討すること。

<方法>
5STSの再試験信頼性と検査者間信頼性を50人のCOPD患者で評価。
構成概念妥当性(construct validity)のために、5STS、ISWT、膝伸展筋力、SGRQ、複合的死亡率指標(ADO、iBODE)を評価。
反応性は、239人の外来呼吸リハ前後での5STSを評価し測定。
MCIDは、アンカーベースで推定。

<結果>
再試験信頼性と検査者間信頼性の級内相関係数は、0.97と0.99
5STSは、ISWT(r=-0.59)、膝伸展筋力(r=-0.38)、SGRQ(r=0.35)、ADO(r=0.42)、iBODE(r=0.46)と相関(すべてp<0.001)。
呼吸リハ前後で、5STS中央値は減少(改善)した(リハ前14.1秒vsリハ後12.4秒、p<0.001)
異なるアンカーを用いて推定したMCIDは1.7秒

<考察>
5STSは、COPD患者で信頼性、妥当性、反応性が確認され、推定されたMCIDは1.7秒であった。多くの医療現場での使用に適したアウトカム評価である。

・5STSの測定方法
背もたれがまっすぐのひじ掛けのない椅子を使用。椅子の高さは48㎝。
足底が床にフラットにつくように椅子に座り、胸の前で腕組み。
介助なしで最初の動作が行えない患者は、その時点で終了。
最初の起立を行えた患者は、できるだけ早く、腕を使わずに5回起立を行う。
時間は、「初め」の合図と共に開始し、5回目の起立が終わった時点(立位?)まで。

・再試験信頼性
同じ検査者で24-48時間開けて2回計測。

・反応性
8週間の外来リハプログラムを行った外来患者で計測。
週2回の監視下と1回の自宅での運動を実施。
運動処方は、推定最大酸素摂取量の80%から開始。サイクリングは、自覚症状に応じて開始。

・MCID
患者報告アウトカムと客観的アウトカムのMCIDをアンカーに使用。
患者報告アウトカム:患者の自覚改善度(Likert scale:1点(とても良くなった)から5点(とても悪くなった)のうち、良くなった、とても良くなったと答えた患者)
評価のMCID:ISWTのMCID(47.5m以上の増加)、SGRQ(4点以上の低下)のカットオフを達成した患者の5STSをROC曲線にて算出。

ベースライン特性と5STSとの相関

5STSができた患者とできなかった患者の比較
肺機能(%FEV1.0)は有意差なく、運動機能で有意差ありが多い