COPD as an independent risk factor for osteoporosis and fractures
Osteoporos Int (IF: 3.864; Q1). 2020 Apr;31(4):687-697.
<背景>
COPD患者は、骨粗鬆症や骨折のリスクが高い。しかし、両者のスクリーニングと予防のための予防的措置は、この患者集団ではしばしば無視されている。
このケースコントロールスタディでは、骨減少症、骨粗鬆症、骨折の有病率の評価と、骨折の可能性に関するリスク因子を検討すること。
<方法>
91人のCOPD群と81人の年齢、性別を補正した対照群で骨密度(BMD)、胸腰椎レントゲン、血清PTH、 25-ヒドロキシビタミンDを評価。
過去の骨折歴を臨床経過から収集。
<結果>
COPD群でのそう骨折有病率は57.1%(骨折のオッズは、対照群の4.7倍)
大腿骨頚部のTスコアが、骨折の最もすぐれた予測因子であった。
対照群と比較して、COPD群では、下部脊椎と大腿骨の骨密度が低く、25ヒドロキシビタミンDレベルが低かった。
骨粗鬆症のリスクは2.6倍。
男性において、脊椎骨折が最もCOPD群で多かった(25.9%vs6.5%)
骨折のオッズ比は対照群において、大腿骨頚部Tスコアが≦-2.7、COPD群において-0.6で上昇する。
<考察>
今回の結果は、COPDにおいて、骨粗鬆症と骨折のオッズが高いことに関するエビデンスを強化するものである。
COPD群で骨折していた患者は、想定以上に高いBMDであり、COPDが骨折リスクの独立したマーカーであることを示唆した。
これらの患者には、通常の骨折予防と骨粗鬆症のスクリーニングのための骨密度測定が必要である。
・T-score
若年齢の平均BMD値(基準値)を0として、標準偏差を1SDとして指標を規定した値
骨粗しょう症の診断基準(WHO)
正常:Tスコアが-1SD以上
骨減少症:Tスコアが-1 ~ -2.5SD
骨粗鬆症:T スコアが-2.5 以下
・骨折の評価方法
1)過去5年間で転倒などから骨折したことがあるかを聞き取り
2)脊椎のレントゲンから胸腰椎の脊椎骨折の有無を評価。Genantの基準によってgradeⅡかⅢに当てはまった場合に骨折有と判断
・対象(対照群:COPD群)
年齢 64.1歳:66.2歳
BMI 29.4:27.3
・単変量解析でのリスク因子(OR)
骨減少症 COPD(2.97)、過去3か月の吸入ステロイド使用(2.38)
骨粗鬆症 COPD(3.86)、過去1年間での経口ステロイド使用(8.75)、過去3か月の吸入ステロイド使用(4.95)
骨折 COPD(6.38)、クレアチニン(5.10)、過去3か月の吸入ステロイド使用(5.43)、喫煙(3.40)、骨密度測定結果で骨減少症あり(4.39)、骨密度測定結果で骨粗しょう症あり(5.25)
・骨折の評価結果
転倒による骨折経験は、対照群7.4%、COPD群36.3%
総骨折割合(レントゲンと自己申告)は、対照群17.2%、COPD群57.1%
・考察
COPDで骨密度が低い理由:COPDで骨疾患となる機序は未だ不明確。
骨量減少だけでなく、骨室不良や動的なパラメーターもリモデリングの低下、骨芽細胞の活動の減少、椎体骨折の発生増加を示唆している。
慢性呼吸器疾患において、慢性低酸素血症が骨量減少の原因の一つかもしれない。