2020/12/05

進行した肺がん患者への運動介入の効果

 The Impact of a Multidimensional Exercise Intervention on Physical and Functional Capacity, Anxiety, and Depression in Patients With Advanced-Stage Lung Cancer Undergoing Chemotherapy

Integr Cancer Ther (IF: 2.379; Q1). 2015 Jul;14(4):341-9. 


<背景>
進行した肺がん患者は、悲観的な様相をしており、慢性的な身体的、精神的症状を呈している。
運動腫瘍学について研究をしているにも関わらず、いくつかの運動研究では、化学療法を行っている進行した肺がん患者をターゲットにしている。
この研究の目的は、運動耐容能、筋力、健康関連QOL、不安、抑うつへの影響を主にした6週間の監視下での運動の効果について検証すること。

<方法>
最大酸素摂取量(VO2 peak)を漸増運動負荷試験で評価。
筋力は、1RM
HRQOLは、Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung (FACT-L) scale
不安、抑うつは、HADSで評価

<結果>
114人の患者が対象。43人がドロップアウト。
新たな有害事象は報告されず。
グループトレーニングでの運動アドヒアランスは68%
VO2 peak(P < .001)と6MWD(P < .001)、筋力(P < .05)は向上
不安レベルは減少 (P = .0007) 
感情機能は改善(FACT-L)したが、HRQOLは統計的な有意差はなかった。

<考察>
進行した肺がん患者(NSCLC IIIb-IV, ED-SCLC:進展型小細胞肺がん)に対して、6週間の病院での監視下、構成されたグループでの運動プログラムを実施。
運動耐容能、不安レベル、筋力、感情機能が改善した。
しかし、HRQOL全体は改善しなかった。
無作為化試験を現在216人の患者に対して行っているところである。

・介入内容
週2回、10-12人のグループで実施。1セッション1.5時間
ウォームアップ、筋力ex、フィットネスex、ストレッチで構成
ウォームアップ:最大HRの60-90%でエルゴを10分
筋力ex:6種類のマシントレーニング。1RMの70-90%、3種類以上を5-8セット。1週毎に1RMを測定し、負荷をできるだけ漸増
持久力ex:インターバルトレーニング。患者の最大HRの85-90%を目標に10-15分。
ストレッチ:トレーニングセッション後に、5-10分のストレッチ
各トレーニングセッションに10-15分のリラクセーションを実施。

・介入において、3つの原理をもとに実施:a)がん治療中の介入を早期に開始、b)運動と身体活動、c)患者の自発的な活動