2020/11/01

重症ILDでも呼吸リハの効果アリ

Does the severity of interstitial lung disease affect the gains from pulmonary rehabilitation?

Clin Respir J (IF: 1.514; Q3). 2018 Jun;12(6):2141-2150. 


<背景>
運動耐容能低下は、間質性肺疾患の主な障害であり、患者の予後予測と関連している。
呼吸リハ(PR)は、最大運動耐容能、息切れ、QOLを改善させる。
目的は、ILD患者のPRの効果と、重症ILD患者でも同様の効果が得られるかを検証する事。

<方法>
安定期ILD患者が対象。
評価項目:肺機能、運動耐容能(6MWT)、QOL(SF-36、SGRQ)、精神心理評価(HADS)
リハ前とリハ後(8週後)に評価

<結果>
57人の患者がPRプログラムを完了。女性30人、男性27人。
リハ前後で、QOLと運動耐容能に著明な変化が得られた(p<.05)
患者を拡散能で2群に分け検証(グループ1:%DLCO<40%、グループ2:%DLCO≧40%)
2群間に、1秒量、PaO2を除いて有意差はなかった。
SF36の3項目(身体機能、精神機能、身体的役割)とPaO2を除いて、全評価項目で有意差はなかった。

<考察>
PRはILD患者のQOLと運動耐容能改善をもたらす。
加えて、PRは、疾患重症度に関係なく、重症ILD患者で特に効果が得られる。

・安定期ILD:過去4週間に呼吸器症状の悪化が無く、症状悪化による救急受診が無い
・除外:急性感染症、その他肺疾患(結核、COPD、喘息)の既往、骨関節疾患や循環器など運動が行えない患者。モチベーションの低い患者、コンプライアンスが悪い患者、移動の問題がある患者も除外。

・リハ:呼吸理学療法。1セッション2時間、週2回を8週間。
 内容:呼吸練習(口すぼめ、腹式)、胸郭ストレッチ、リラクセーション、筋トレ、有酸素運動、排痰、安楽なポジショニング
 強度:Borg scale4-6.トレッドミルは最大心拍数の60-90%。
 時間:15分トレッドミル+15分エルゴ
 SpO2<90%となる患者へは酸素投与しながら運動。

・結果 グループ1vsグループ2
リハ後の6MWD:386.1m vs 426m(p=.065)
SpO2の低下:5.8% vs 3.9%(p=0.246)