2020/11/10

ICU退室後も認知機能障害は残存する可能性

 Long-term cognitive impairment after critical illness

N Engl J Med (IF: 74.699; Q1). 2013 Oct 3;369(14):1306-16.



<背景>
重症からの生存者は、しばしば認知機能障害が遷延し、能力制限となるが、いまだ、その特性については明らかになっていない。

<方法>
成人の呼吸不全もしくはショックでICUに入院した患者。
入院中のせん妄を評価し、退院後3か月後、12か月後の認知機能と注意機能をthe Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological StatusとTMT-partBを用いて評価した。
せん妄期間と鎮静、鎮痛の使用の関係をアウトカムに直線回帰分析を実施。

<結果>
821人の患者が入院。6%がベースラインで認知機能障害あり、74%が入院中にせん妄が発症した。
3か月後のglobal cognition scoresは、患者の40%が一般平均スコアの1.5SD、26%は2SDであった。
12か月後に評価すると、高齢者で34%、若者で24%が中等度の脳損傷スコアや軽度アルツハイマー型認知症と同程度のスコアであった。
せん妄の遷延は、3か月後、12か月後のglobal cognition scoresの悪化と独立して関連していた。
鎮静、鎮痛薬の使用は、3か月後と12か月後の認知機能障害とは関係していなかった。

<考察>
ICU入院患者は、認知機能障害が長期間残存する高いリスクがある。
病院でのせん妄の長期化は、global cognition scoresのスコア不良と関連していた。