2020/11/01

CHDF中の早期離床は安全で効果的

Safety, Feasibility, and Efficacy of Early Rehabilitation in Patients Requiring Continuous Renal Replacement: A Quality Improvement Study

Kidney Int Rep (IF: 3.374; Q1). 2019 Oct 11;5(1):39-47.


<背景>
重症患者への早期リハビリは、アウトカムの改善と関連している。最近の研究で、持続透析治療(continuous renal replacement therapy (CRRT))中の患者でも安全に活動(mobility)できることがしめされている。
この研究の目的は、CRRTを行っている患者への活動に焦点を置いて、早期リハビリが安全に行えるかを評価した。

<方法>
安全性は、CRRTカテーテル抜去や予期しない抜管、出血、血行動態の急変などを含む重大なイベントと、安静時SPO2が10%以上低下などの小さなイベントを記録。
リハビリの効果は、評価を行うのは制限されるため、臨床アウトカムとの関連で判断。

<結果>
67人の患者(平均54歳、44%女性、平均BMI29.2)がプロトコルに沿って早期リハビリを実施。
CRRTの中央値は6.0日、72%の患者は、人工呼吸もリハビリ介入の際に同時に行っていた。
152回のリハ介入のうち、112回はリハビリセッションを完了した(完了率74%)。
重大なイベントは生じなかった。
退院時に、多くの患者がより高い活動レベルに達していた(p=0.076)

<考察>
CRRTを行っている重症患者に対する早期リハビリの提供は、安全で実現可能であった。さらに、予備的な結果であるが、活動に焦点を置いた早期リハビリは、これらの患者の活動アウトカムの改善を示唆した。

・アメリカ、ケンタッキー州大学Albert B. Chandler HospitalのICUでの研究
早期リハビリプロトコル

・専門チーム(腎臓専門医、集中治療医、看護師、PT、OT)によって患者を評価
・phase1:段階的に患者の評価。1)リハ医が、血行動態、呼吸器設定、鎮静を評価。2)基準を満たせば、ベッドサイドにて看護師と状態についてディスカッション。3)ICUチームとリハセッションについて調整。
・phase2:早期リハプロトコルは、標準化され、離床、活動レベルを漸増
患者の血行動態が活動によって反応していることを確認しながら身体活動を進めた

安静度拡大のプロトコル
レベル1&2:ベッド上での他動、自動運動
レベル3:ベッド端座位での活動
レベル4:起立、移乗
レベル5:歩行

・ICU入室時eGFR:18.4、クレアチニン:2.73、終末期腎疾患:13人(19%)
・併存疾患:高血圧、肝障害、糖尿病、COPD
・ICU入室からCRRT導入までの日数:平均3日。
・人工呼吸管理:65人(95.6%)、呼吸器管理日数:10.2日
・ICU日数:13日、入院日数25日
・転帰:入院中に死亡37.3%、リハビリ転院22.4%、自宅退院13.4%

リハビリ評価
・リハ開始までの日数:5日、リハセッション完了:74%
・リハ中断理由:状態悪化45%、鎮静32.5%、興奮・拒否5%


・リハ完了数と関連していた項目:人工呼吸日数、入院日数、ICU日数、CRRT日数
・より高いレベルの活動が行えた患者は、生存率が高い傾向にあったが、統計的な有意差なし
・リハ開始までの日数が短いと、高い活動レベルが達成された(r =-0.292, P = 0.017)

・多変量解析にて、リハビリが行えないことは、入院中死亡率と独立して関連していた。併存疾患が多いことと肝障害があることは、入院中の死亡と強く関連していた(OR3.296)