2020/07/01

肺高血圧症患者への運動介入効果

Exercise Training Improves Peak Oxygen Consumption and Haemodynamics in Patients With Severe Pulmonary Arterial Hypertension and Inoperable Chronic Thrombo-Embolic Pulmonary Hypertension: A Prospective, Randomized, Controlled Trial

Eur Heart J . 2016 Jan 1;37(1):35-44. 


<目的>
右心機能や肺循環をまだ侵襲的に評価していない肺高血圧症(PH)、右心不全患者に対する運動の影響を調べること。
前向きランダム化比較試験で最大酸素摂取量、血行動態、今後の合併症に対する運動療法の効果を検討した。

<方法>
87人の肺動脈高血圧と手術可能な慢性血栓塞栓性肺高血圧患者で安定期の治療を行っている患者。
無作為にコントロールグループと介入グループに分けた。
薬物治療は介入期間中は変更しなかった。
安静時と運動時の右心カテーテルと非侵襲的評価をベースラインと15週後に実施。
プライマリーエンドポイントは最大酸素摂取量の変化。
セカンダリーエンドポイントは血行動態の変化。


<結果>
トレーニンググループで最大酸素摂取量は著明に増加。
安静時と運動中の心係数(Cardiac Index:CI)、平均肺動脈圧、肺血管抵抗、6MWD、QOL、運動耐容能はトレーニンググループで著明に改善。

<考察>
週4-7回の低強度運動は、最大酸素摂取量、血行動態、合併症の発生を有意に改善させた。
安静時と運動時のCIが上昇しているのは、右心室機能の改善を示しているかもしれない。
今後、大規模多施設共同での結果が必要である。


・対象
肺高血圧、手術可能なor慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)、慢性右心不全患者
過去2ヶ月安定期治療を行っている
コントロールグループは、介入期間中に運動やいかなるアドバイスも受けない

・リハビリプログラム
期間:入院3週と自宅運動12週
時間、頻度:入院中は1日最低1.5時間(合計)を毎日、自宅では1日最低15分を週5回実施
内容:インターバルで低負荷のサイクルエルゴメーター、ウォーキング、1.0kg以下のダンベル運動、呼吸練習(週5日)

酸素療法:運動中SpO2 <90%となる患者に対しては、酸素3-10L/minの酸素吸入を行いながら運動。
運動と並行して、メンタルトレーニングも実施。