JAMA Surg. 2020;155(5):412-418.
<背景>
多くの高齢者は術後死亡率のリスクが高いにも関わらず、大手術を行う。身体機能、認知機能、心理状態を評価し、高齢者の健康に関して重要な要素が知られているにも関わらず、術後アウトカムの悪化リスクの評価として使用されていない。
<目的>
身体機能、認知機能、心理機能を評価し、大手術を行った高齢者の1年間の死亡率との関係を調査すること。
<方法>
66歳以上の高齢者が対象。大手術は、腹部大動脈瘤、冠動脈バイパス術、大腸切除術を含む。
<主なアウトカム>
術後1年間の死亡率。
ADL、手段的ADL、歩行できないこと、認知機能、抑うつの既往をから関連する要素を評価。
<結果>
1341人の患者が対象
平均年齢76歳、55%は女性。
患者の内訳は、
腹部大動脈瘤 7%
冠動脈バイパス術 42%
大腸切除術 42%
17%の患者が1年以内に死亡。
年齢、併存症、術式、性別、人種、収入、教育を補正し、1年以内の死亡率と関連していたのは、
1つ以上のADL介助(adjusted hazard ratio [aHR], 2.76; P = .001)
1つ以上の手段的ADL介助(aHR, 1.32; P = .05)
歩行困難(aHR, 1.64; P = .01),
認知症(aHR, 1.91; P = .03)
抑うつ(aHR, 1.72; P = .01)
リスク因子が増えると、1年以内の死亡率が増加した。(0 factors: 10.0%; 1 factor: 16.2%; 2 factors: 27.8%)
<考察>
高齢者のコホートにおいて、223人(17%)が大手術後1年以内に死亡しており、身体機能、認知機能、心理機能が死亡率と関連していた。
身体機能、認知機能、心理機能を術前に評価することが手術の意思決定や患者への説明に組み込まれる必要がある。