2020/07/26

入院中の運動介入で、認知機能が改善

Assessing the impact of physical exercise on cognitive function in older medical patients during acute hospitalization: Secondary analysis of a randomized trial

PLoS Med (IF: 11.048). 2019 Jul 5;16(7):e1002852.


<背景>
入院が必要な急性疾患では、しばしば、高齢者で長期間の活動制限を生じ、注意するイベントが生じる。ベッド安静が長期化すると、認知機能障害や認知症の進行リスクがある。入院中の運動介入は、高齢者の機能低下を予防するが、認知機能の項目に特化した運動効果はこれまで検討されていない。
目的は、急性期病院にて高齢者の認知機能に対する多面的な運動介入の効果を検証すること。

<方法>
2015年1月から2017年8月までに高齢者病棟の急性ケアに入院していた患者を対象にしたRCTの二次解析を実施。
370人の75歳以上の入院患者をランダムに、運動介入とコントロールに分類。
介入は、連続5-7日(2回/日)
通常ケアは、従来の病院でのケアを行い、必要であればリハビリを実施。
主なアウトカムは、注意機能の変化:デュアルタスク、歩行速度、トレイルメイキングテスト(TMT part1)
MMSEと言葉の流暢さは介入期間後に評価。

<結果>
運動プログラムは、通常ケアよりも著明な効果を示した。
歩行速度:話しながらの速度と計算しながらの速度は、通常ケアよりもそれぞれ0.1m/sずつ向上。
TMT-Aスコア:-12.7秒 vs -3.13秒
MMSEスコア:2.1点 vs    0.27点

言葉の流暢さスコアで介入群の方が著明に改善:2.16語 vs 1.56語

研究制限
全患者が入院時、退院時の全ての評価が出来なかった。
入院前に完全に身体機能が良好(Bathel Index>60点)である患者が含まれていた。

<考察>
個別の運動プログラムは、認知機能の改善に有効かもしれない。
従来の入院生活から、身体機能と認知機能維持のために、運動が必要であることをしめしており、重要な要素は、内在的な耐久性である。

2020/07/24

縦隔気腫を合併した間質性肺炎の特徴と予後

Characteristics and prognosis of interstitial pneumonias complicated with pneumomediastinum

Respir Investig . 2020 Jul;58(4):262-268.


<背景>
間質性肺炎(IPs)で縦隔気腫を合併した患者の臨床的特徴や予後に関してはあまり研究されていない。
目的は、縦隔気腫を合併した間質性肺炎患者の特性と予後(予測)因子を明らかにすること。

<方法>
2011年から2014年にCTにて縦隔気腫が指摘されたIP患者を後方視的に検索。
収集データは、縦隔気腫関連の症状、ラボデータ、肺機能、治療、死亡率

<結果>
45人の患者が対象(25人男性、32人が特発性IP(IIPs)、13人が膠原病関連IP)
縦隔気腫を発症した年齢は、中央値72歳
縦隔気腫の発症と最も関連していた症状は、息切れの増悪。
ほとんどのケース(84%)で(縦隔気腫に対する)特異的な治療はなされていなかった。
縦隔気腫の発症から改善までの期間は、中央値29日(5-69日)であった。
多変量解析にてIIPsと縦隔気腫が改善しないことが、予後不良と関連していた。

<考察>
IIPsで縦隔気腫を合併した患者と縦隔気腫が改善しなかった患者は、予後不良であった。

2020/07/11

間質性肺炎患者への早期介入で死亡率減少

Effectiveness of Early Versus Delayed Physical Rehabilitation on In‐Hospital Mortality in Interstitial Pneumonia: A Retrospective Cohort Study

PM R (Report missing IFs). 2020 Mar 6. 


<背景>
急性期入院患者に対する早期リハビリテーションは、広く推奨されているが、急性期の間質性肺炎患者に対する早期介入の効果は明らかになっていない。
目的は、急性期における間質性肺炎患者への早期リハビリテーションが死亡率に影響するかを検討すること。

<方法>
後方視コホート研究。2014-2018年に日本間質性肺炎のため入院した患者。
早期リハビリテーションは、入院2日以内にPTもしくはOTが介入していること。
主なアウトカムは、30日、90日の入院中の死亡率。

<結果>
入院した患者のうち847人(50%)が早期リハビリテーションを実施。
死亡率は、早期リハビリテーショングループで有意に低かった。
(30‐day mortality: 6.8% vs 12.1%, 90‐day mortality: 13.0% vs 19.8%).

<考察>
早期リハビリテーションは、間質性肺炎患者の入院中の死亡率を減少させ

ICUAW患者で状態に応じたPTプログラムを実施

A multimodal rehabilitation program for patients with ICU acquired weakness improves ventilator weaning and discharge home


J Crit Care (IF: 2.783). 2018 Oct;47:204-210.


<目的>
 multimodal rehabilitation program(MRP)と通常ケア(UC)を行ったグループと通常ケアのみのグループで、
1)身体機能、筋力、持久力
2)人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)と遷延した呼吸器管理によって生じたICUAWの患者の退院時の状況
を比較すること

<方法>
呼吸器管理を行っており、ICUAWを呈した中高齢者に、個別にMRP+UCもしくはUCをランダムに提供。
アウトカムは筋力、活動性、ウィーニング成功、急性期病院長期入院から自宅へ退院したか

<結果>
14日以上呼吸器管理をしていた患者、男性18人、女性14人(平均年齢60.3歳)が対象
グループ間で握力、歩行速度、SPPB or 6MWDの変化は両グループで差は無かったが、MRP+UCグループでウィーニング成功率が高かった(87% vs. 41%, p < 0.01)
自宅退院がUCより多かった(53%vs12% p=0.05)
ウィーニングに成功したもしくは、自宅退院した患者を基に、事後解析(Post hoc analyses)を行うと、筋力、歩行、可動性が著明に改善していた。

<考察>
長期入院しており、ICUAWを呈している患者に、MRPを追加すると、筋力、身体機能、可動性が、通常理学療法と比較して改善しており、UC単独よりもウィーニングの成功、自宅退院と関連していた。

・患者特性
採用基準:
ICUAWを呈した50歳以上で入院時人工呼吸管理がされており、長期入院となっている患者
気切、14日以上人工呼吸管理、1日6時間以上の人工呼吸管理が14日以上必要、MRPプログラムに参加可能、入院前B.I>70点、

除外基準:心不全stage5やCOPD増悪、喘息発作、治療できない感染症
認知機能低下(Montreal Cognitive Assessment≦20)
重度の機能障害、神経筋障害(脊損、パーキンソン、股関節骨折等)

・評価項目
握力、SPPB、4m歩行速度、6MWD、MMT、ベッドサイドADL
2週間ごとに評価

・Multimodal rehabilitation program
患者の状態をベッドサイド、端座位、歩行に分類
分類ごとに決められたプログラムを実施
より高い活動性や筋力向上、耐久性向上を目標に作成されたもの
MRPセッションは、45-60分、3回/週(UC、作業療法、レクレーションとは別の日)
それぞれのPTセッションで、mBorg3-5となるように強度や種類を調整


Bed dependent:座位や立位への姿勢変化で最小介助が必要
Cheir dependent:立位保持、バランス、歩行前の活動に最小介助が必要
Ambulation:最小介助で25feets(約7m)歩行可能

全てのグループで、上下肢のサイクリングでの有酸素運動を負荷をつけて20分実施

【通常ケア】
基本的なリハビリ。
強度、努力、疲労感、動作や持久性の質を考慮せず運動を実施。
座位バランス、起立、移乗、筋力訓練を含むが、運動効果をえるために漸増するわけではない。
SpO2 >92%を維持するように酸素吸入を必要であれば実施


握力や歩行速度、SPPBなどがウィーニング成功した群では有意に改善していた。
自宅退院と身体機能の変化の関連では、ベッドから起立できるがが最も影響していた(OR 2.23、p=0.01)