PLoS Med (IF: 11.048). 2019 Jul 5;16(7):e1002852.
<背景>
入院が必要な急性疾患では、しばしば、高齢者で長期間の活動制限を生じ、注意するイベントが生じる。ベッド安静が長期化すると、認知機能障害や認知症の進行リスクがある。入院中の運動介入は、高齢者の機能低下を予防するが、認知機能の項目に特化した運動効果はこれまで検討されていない。
目的は、急性期病院にて高齢者の認知機能に対する多面的な運動介入の効果を検証すること。
<方法>
2015年1月から2017年8月までに高齢者病棟の急性ケアに入院していた患者を対象にしたRCTの二次解析を実施。
370人の75歳以上の入院患者をランダムに、運動介入とコントロールに分類。
介入は、連続5-7日(2回/日)
通常ケアは、従来の病院でのケアを行い、必要であればリハビリを実施。
主なアウトカムは、注意機能の変化:デュアルタスク、歩行速度、トレイルメイキングテスト(TMT part1)
MMSEと言葉の流暢さは介入期間後に評価。
<結果>
運動プログラムは、通常ケアよりも著明な効果を示した。
歩行速度:話しながらの速度と計算しながらの速度は、通常ケアよりもそれぞれ0.1m/sずつ向上。
TMT-Aスコア:-12.7秒 vs -3.13秒
MMSEスコア:2.1点 vs 0.27点
言葉の流暢さスコアで介入群の方が著明に改善:2.16語 vs 1.56語
研究制限
全患者が入院時、退院時の全ての評価が出来なかった。
入院前に完全に身体機能が良好(Bathel Index>60点)である患者が含まれていた。
<考察>
個別の運動プログラムは、認知機能の改善に有効かもしれない。
従来の入院生活から、身体機能と認知機能維持のために、運動が必要であることをしめしており、重要な要素は、内在的な耐久性である。