2020/06/18

肺がん術前の短期間高強度運動療法の効果

Short-Term Preoperative High-Intensity Interval Training in Patients Awaiting Lung Cancer Surgery: A Randomized Controlled Trial

J Thorac Oncol . 2017 Feb;12(2):323-333.


<背景>
有酸素運動における制限は、術後合併症のリスク因子である可能性がある。
このRCTでは、高強度インターバルトレーニング(HIIT)プログラムが、肺がん術前の心肺機能を向上させるか、術後合併症を減少させるかについて検討した。

<方法>
周術期の肺がん患者を無作為に通常ケア(n=77)とHITTを術前に行った群(n=74)に分けた。
最大運動負荷試験と6MWTと術前に2回測定。
プライマリーアウトカムは、死亡と入院中の術後合併症

<結果>
術前待期期間:中央値25日
最大酸素摂取量と6MWTはリハ群で増加。
通常群では最大酸素摂取量が減少。
プライマリーアウトカムは、2群間で有意差なし:少なくとも1つの合併症のあったのはリハ群で74人中27人(35.5%)、通常ケア群で77人中39人(50.6%)(p=0.08)

特に、呼吸器合併症はリハ群で有意に低かった(23%vs44%、p=0.018))
無気肺が著明に減少していた(12.2% vs 36.4%, p < 0.001)
麻酔後ケアユニット(回復室?)の入室日数がより短かった(中央値7時間減)

<考察>
このRCTで、術前HIITは、有酸素機能を著明に高めたが、肺切除術後の早期合併症の予防は出来なかった。


・術前HIITの内容
週2-3回、PTの監視下(合計7-13セッション)
最大負荷の50%で5分のウォームアップ
最大負荷の80-100%で15秒のスプリントエルゴ+15秒のインターバルを合計10分2セット
セット間に4分の休憩
その後、クールダウンを最大負荷の30%で5分実施。

負荷は、PTが目標最大心拍数に近いところで調整。

さらに、レッグプレスや膝伸展などの筋力トレーニングも個別に実施。

・教育、指導
術前により活動的になるようアドバイスやリスク管理の情報(栄養、禁煙、禁酒)を提供


Large image of Figure 2.