J Clin Med (IF: 5.688). 2020 May 21;9(5):E1567.
<背景>
特発性肺線維症(IPF)患者への呼吸リハ(PR)は推奨レベルは、弱く低い質のエビデンスである。
したがって、今回の目的は、短期間のPRの効果と3か月のフォローアップ後のメンテナンスについて検討すること。
<方法>
54人のIPF患者を無作為に3週間の包括的入院PRグループと通常ケアに分けた。
アウトカムのタイミングは、ベースライン(T1)、介入後(T2)、T2の3か月後(T3)
6MWDをプライマリーアウトカム、CRQをセカンダリーアウトカムとした。
<結果>
T1からT2の6MWDは変化改善していたが、T1とT3では有意な違いはなかった。
ベースラインのFVCが高い、不安症状が強いと短期間での6MWDが著明に改善する良い予測因子であった。
CRQ合計スコアの変化は、PR群において、T1とT2、T1とT3の間に、有意な改善を認めた。
<考察>
短期間の効果に加えて、入院PRは中期的なQOL改善効果も認めた。
病期の早期からPRを行うことが、もっとも効果的であると思われる。
・ドイツの3施設にて行われたRCT
・CTにてIPF(UIP pattern)と診断された患者が対象
・除外基準は、%FVC<50%(調査期間中に死亡するリスクが高いため)、急性冠動脈疾患、PRを行うのにが禁止されている、COPD合併
・患者特性:平均年齢65歳、%FVC74%、%DLCO30-40%程度、6MWD400m
・ランダムにPRに振り分けられた患者は、まず3週間の入院にて包括的PRを実施。
・PRプログラムは、必要であれば酸素療法やNPPVを使いながら実施。・心理サポート、呼吸法、教育(疾患管理、身体活動、栄養、モチベーション)、運動療法
・運動内容
【持久力運動】
頻度:5-6日/週
強度:自転車で最大負荷の60-100%
時間:1セッション15-18分(インターバルもしくは持続)
【筋力トレーニング】
主要筋群(major muscle groups)を15-20RMを3セット
・運動強度や時間は、息切れ修正Borgで4以下を目標に増加させる
・対照群:必要であれば呼吸器専門医にコンタクトをとる。外来PRは期間中行わない。
・6MWD
ベースラインvs介入後:(Δ = 61 m, 95% CI (18.5–102.4 m), p = 0.006)
ベースラインvs介入後3ヵ月: (Δ = 26 m, 95% CI (8.0 to 61.5 m), p = 0.16)
ベースラインで不安症状の強い患者群の78%が6MWDのMCIDをクリアしていた
(A Cochrane analysis found a mean 6MWD difference of +44 m in ILD and +36 m in IPF patients after PR)
・要因として、運動だけでなく包括的な介入が良かったこと、個別的な介入が出来ていたこと、外来PR(2回/週)より多くの運動セッションを行えていたことが考えられるとの事。