2020/05/16

化学療法中の大腸がん患者への運動介入効果

Effects of an Exercise Program in Colon Cancer Patients undergoing Chemotherapy.

Med Sci Sports Exerc. 2016 May;48(5):767-75.


<目的>
疲労感は、大腸がん患者に共通した問題であり、化学療法中は特に増加する。
化学療法中の運動は疲労感に対して効果的かもしれない。
大腸がん患者で補助治療を行っている患者に運動が短期的、長期的に有効であるかを検証した。

<方法>
多施設共同ランダム化試験。33人(男性21名)の化学療法中の大腸がん患者が対象となり、無作為に18週の監視下運動プログラム(17名)と通常ケア(16名)に分けられた。
プライマリーアウトカムは疲労感(the Multidimensional Fatigue Inventory、the Fatigue Quality Listで評価)。
セカンダリーアウトカムはQOL、身体活動、不安、抑うつ、体重、化学療法完遂率。
アウトカム評価は、ベースラインと介入終了時と36週に実施

<結果>
Intention-to-treat混合線形モデル解析にて、介入群の患者では、18週後の身体的疲労感と36週後の全体的疲労感が著明に少なかった。
また、通常ケアと比較して、より高い身体機能が報告された。

<考察>
がん治療中の身体活動研究で、化学療法中の大腸がん患者に対する18週の監視下運動プログラムは安全で効果的であった。
介入は、18週後の身体的疲労感と36週後の全体的疲労感を著明に軽減させた。
本研究の参加患者を考慮し、より大規模な研究が求められる。


・ドイツの7つの病院2010-2013年に実施
・対象患者:大腸がんと診断されて10年未満、stageM0(遠隔転移なし)、予定化学療法、25-75歳、ドイツ語が理解できる、Karnofskyパフォーマンスステータスが60以上、100m以上歩ける

・運動内容
頻度:週2回
内容:PT(理学療法士)による監視下運動。ウォーミングアップ(10分)、有酸素・筋力運動(40分)、クールダウン(10分)の1時間を1セッション。
1日30分は身体活動を行うように指導
強度:有酸素運動;インターバルを採用。2分3セットから7分2セットへ上昇し、呼吸閾値未満で実施
筋力運動;上肢、下肢、肩、体幹。1RMの65%で10回2セットから開始し、75%1RMを10回1セットと45%1RMで20回1セットまで徐々に増加。
筋力運動は週2回。
運動は、週に150分、そのうち筋力運動は週2日行うように指導。4週ごとに、有酸素運動と筋力を再評価。

・対照群
運動介入は行わず、通常通りの身体活動を行った

・患者特性
化学療法はCAPOXを8サイクルがほとんど。
放射線はほぼ行っていない
手術は、開腹と腹腔鏡下がほとんど

・運動機能
最大酸素摂取量は両群で変わらず。
男女で分けると、女性で最大酸素摂取量に有意差あり。

・化学療法完了率
有意差無いが、82%vs76%で、介入群の方が良好な傾向