2020/04/05

COPD増悪後、早期介入は、有効か?(ERJ open 2020)

Early pulmonary rehabilitation after acute exacerbation of COPD: a randomised controlled trial

ERJ Open Res. 2020 Jan; 6(1): 00173-2019.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7024764/

<目的>
COPDの重症増悪後の早期呼吸リハが、死亡率の減少や入院を減少させるか、身体機能やQOLを向上させるかについて検証すること。

<方法>
無作為化比較試験。150人のCOPD増悪で入院した患者が対象。
患者は、退院後2週間以内に呼吸リハを開始するか、同じプログラムを退院2か月後に開始するかに分けられた。

<結果>
早期呼吸リハは、最初の入院までの期間や死亡までの期間を延長しなかった。
しかし、開始から2か月後、早期呼吸リハは、漸増シャトルウォーキングテストで改善が大きくかった。(33.9m、 95% CI 4.18–63.7, p=0.02)
定常シャトルウォーキングでも改善を認めた。(140 s, 95% CI −2.03–282.76, p=0.05)
CAT(COPD assessment test)は、有意差が無かった(−1.43 points, 95% CI −3.44–0.59, p=0.17).

<考察>
増悪後の呼吸リハを早期に開始すると、より速く身体機能の改善が得られた。
しかし、生存率や再入院までの時間には改善が無かった。

・急性増悪後の症状は、通常7-10日持続し、患者の20%は、8週後も完全に回復しなかったという報告がある。
・呼吸リハは、COPD管理において重要な役割がある。

・プライマリーアウトカム:1年後の生存率、再入院。
・セカンダリーアウトカム:ISWT、ESWT、CAT

・早期呼吸リハ:退院後、外来や地域や自宅にて身体機能を測定。退院後2週間以内にリハビリを開始。

・リハプログラム:標準的な7週間プログラム。監視下運動療法(有酸素運動、レジスタンストレーニング)、教育セッション、
・運動は、週2回、1.5時間、教育は週1回、1時間。

・安定後リハグループ:退院後2ヵ月から同様のプログラムを開始。

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研究プロトコル
・アドヒアランス
早期リハグループで、初回セッションまでの期間は、9日。介入セッションは13回。

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再入院までの期間
矢印の時点からリハ開始。
早期から開始しても再入院までの期間は変わらない。(むしろ短縮?)
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生存率
矢印からリハ開始。
リハ開始期間によって、生存率に差は無い。
身体機能
a)ISWT、b)ESWT、c)CAT
どの指標も、回復の立ち上がりは早期介入の方が早いが、その後は有意差なし。

・2016年のCochrane reviewでは、早期リハを”退院後3週"と定義した。しかし、これらのレビューでは、対照的に、早期リハとリハなしで比較されていた。
今回は、介入開始時期の違いで検討した。
しかし、再入院率や数の成績は今回の方が不良であった。
→これまでの研究でも、見解は様々である。