2020/04/09

急性呼吸不全後の認知機能障害のスクリーニング方法は?

Cognitive screening among acute respiratory failure survivors: a cross-sectional evaluation of the Mini-Mental State Examination.

Crit Care (IF: 6.959) 2015 May 5;19:220.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25939482

<背景>
MMSEは認知機能のスクリーニングによく用いられるが、ARDS生存者の認知機能障害のスクリーニングに使用可能かは明らかになっていない。
目的は、ARDS生存者の対して、MMSEと現在使用されている神経心理学的テストを比較すること。

<方法>
ARDSNetの長期アウトカム研究(ALTOS)と覚醒と呼吸トライアル研究(ABC)のデータを横断的に収集。
242人のARDS生存患者が対象。
ALTOSでは、MMSEと詳細な神経心理的テストを退院後6ヵ月と12か月に評価。
ABCでは、退院時、3か月後、12か月後に評価。
認知機能障害は、MMSE<24点を基準とし、神経心理学的テストと機能障害を比較した。
ペアワイズ相関、感度、特異度、陽性、陰性予測値を用いて統計処理を行った。

<結果>
MMSEと神経心理学的テストの一致度は、良好であった(42-80%)
特異度は特に優れていた(93%以上)
感度は不良であった(19%)
MMSEの項目とそれに対応している神経心理学的テストの相関は、低度から中等度であった (6 months: r = 0.11 to 0.28; 12 months: r = 0.09 to 0.34)。
最も高い相関を示したのは、6か月後の注意の項目(r = 0.28)と12か月後の言語(r = 0.34)であった。

<考察>
急性呼吸不全の生存者において、MMSEは、詳細な神経心理学的テストと比べて、認知機能障害を見つけることにおける感度に乏しかった。
この患者において、MMSEの結果は、慎重に解釈すべきである。

神経心理学的テスト:Neurobehavioral Cognitive Status Examination(NCSE)、Wechsler Adult Intelligence Scale(WAIS)、Wechsler Adult Intelligence Scale(WAIS:ウエクスラー記憶検査)、言語流暢さ試験