2020/03/26

慢性呼吸器疾患の増悪入院後のリハビリ

Rehabilitation in chronic respiratory diseases: In-hospital and post-exacerbation pulmonary rehabilitation

Respirology (IF: 4.756) 2019 Sep;24(9):889-898.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30835884

入院が必要なCOPD増悪は、患者にとって重要なイベントである。機能障害と骨格筋機能障害は、肺機能と独立して入院や再入院のリスクを高める。加えて、これらの患者は、複数の要因によって不活動や全身炎症、栄養障害などのアウトカムの悪化を導くことが明らかになっている。
これら肺以外の要因は、運動療法によって変えられる可能性がある。
増悪時期周囲の呼吸リハはCOPD増悪管理において重要な役割を持つ。
このレビューでは、どのように機能制限や骨格筋異常が重症COPD増悪患者に影響しているかを示し、入院した患者における入院による影響や増悪時期の呼吸リハの役割についてレビューする。
入院中の増悪後のリハビリと退院後のリハビリを含めたリハビリである。
増悪時期周囲のリハビリについての可能性についても述べる。

<COPD増悪時の全身状態>
COPD増悪は、気道感染の結果として息切れが増悪したり、肺への追加治療が必要となる。
しかし、増悪は、肺以外への身体的な影響があることが明らかになっている。
安定期と同様に、増悪時も骨格筋機能や歩行状態は重要な要因である。
入院が必要となるような重症の増悪では、体全体への多面的な影響がある。これは、将来さらに活動できなくなることを予防することを減少させるような影響があり、回復力や再入院リスク、死亡リスクを増加させる。
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<入院関連機能障害>
入院関連機能障害(hospital-associated disability (HAD))は、身体機能の低下を促進させる現象。
睡眠パターンの変化、急性認知機能障害、自発性(autonomy)低下も含まれる。
これらの結果として、入院関連機能障害や入院後症候群を引き起こす。また、ADL低下も多くの患者で生じている。
リカバリーには数か月かかり、不可逆的な変化をもたらすかもしれない。
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<運動療法の根拠>
現在、COPD増悪の治療は、主に肺への侵襲を照準としている。
運動療法は、HADや進行したCOPD患者、機能制限が形成される以前の状態の治療となり得る可能性がある。
安定期の呼吸リハは、症状のある世界中のCOPD患者に推奨され、COPD治療で最も頻繁に行われている治療のひとつである。
呼吸リハは、個別運動、教育、行動分析、からなり、症状を最小限にする、最大運動能力、自主性、QOL向上を目的とする。
したがって、増悪期間中に呼吸リハを行うことは、すでに行われており、世界中で推奨されている。


<増悪後の呼吸リハ>
増悪後の呼吸リハは、重症増悪の治療へ主に影響し、国際的なガイドラインにて推奨されている。
安定期のプログラムと同様の内容を行うが、重症増悪からの回復期間である。

<入院中の呼吸リハと運動>
増悪後の呼吸リハは、HADの影響や増悪の影響からの回復に影響するとされているが、身体機能の低下は予防もしくは最小化にできない。
これを目標にしているが、介入は、入院期間中に開始が求められ、より早期が理想とされる。
重症増悪や急性疾患からの自然回復によって、非常に多様な状態にあり、従来の呼吸リハモデルでは介入が困難である。
このレビューの目的のために、入院中の介入のみについて調査。

<入院期間のみのトレーニング>
20年前に入院リハの効果を検討した2文献が該当。
・80人の、COPD、ICU管理。入院期間は1ヵ月以上。
運動介入(漸増有酸素運動と呼吸筋トレーニング)は、歩行能力を向上させた。
・29人のCOPD増悪入院患者。入院後6-8日から開始。
・骨格(大腿四頭筋力)低下予防に、骨格筋のレジスタンストレーニングを使用した。
平均6日間介入。1RMの70%から開始。
介入群で10%筋力は改善。