2020/04/28

入院による身体活動パターンへの影響

Effect of Hospitalizations on Physical Activity Patterns in Mobility-Limited Older Adults.

J Am Geriatr Soc (IF: 4.113) 2019 Feb;67(2):261-268.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30452084


<背景>

活動制限のある高齢者の入院による座りがちなパターンと身体活動時間をランダムに構築された身体活動と健康教育に分けて影響を調査した。



<方法>
ベースラインで座りがちな70-89歳の男女に腰に加速度計を装着(N=1341)。
ベースラインとランダム化後6か月後、12か月後、24か月後に連続7日間測定。

参加者は無作為に身体活動介入(PA;n=669)と健康教育介入(HE;n=672)に分けられた。
身体活動介入は、有酸素運動、抵抗運動、ストレッチで構成。
健康教育は、健常高齢者のワークショップ、上肢ストレッチを実施。

加速度計は、座りがちな時間 (<100 counts/min; ≥1, ≥10, ≥30, ≥60 minute lengths)と活動的な時間 (≥100 counts/min; ≥1, ≥2, ≥5, ≥10 minute lengths) で分けた。

それぞれの参加者は、それぞれの加速度計で評価する前に0、1-3、4、4以上の累計入院日数に分類分けされた。

<結果>
入院によって、両群とも座りがちな時間は増加した。
入院は、10分に満たない身体活動時間の減少と関連していた。
入院前のレベルまで回復するという根拠は無かった。
PA参加者は、HEよりも30分未満の座りがちな時間が少なく、総活動時間は多かった。
しかし、入院によって、両グループとも同様の変化が生じていた。

<考察>
入院前にPA介入を行っていた参加者は、効果が得られた。しかし、依然として入院による悪影響を受けやすい。
入院後、より活動的になるという根拠は無かった。


2020/04/09

急性呼吸不全後の認知機能障害のスクリーニング方法は?

Cognitive screening among acute respiratory failure survivors: a cross-sectional evaluation of the Mini-Mental State Examination.

Crit Care (IF: 6.959) 2015 May 5;19:220.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25939482

<背景>
MMSEは認知機能のスクリーニングによく用いられるが、ARDS生存者の認知機能障害のスクリーニングに使用可能かは明らかになっていない。
目的は、ARDS生存者の対して、MMSEと現在使用されている神経心理学的テストを比較すること。

<方法>
ARDSNetの長期アウトカム研究(ALTOS)と覚醒と呼吸トライアル研究(ABC)のデータを横断的に収集。
242人のARDS生存患者が対象。
ALTOSでは、MMSEと詳細な神経心理的テストを退院後6ヵ月と12か月に評価。
ABCでは、退院時、3か月後、12か月後に評価。
認知機能障害は、MMSE<24点を基準とし、神経心理学的テストと機能障害を比較した。
ペアワイズ相関、感度、特異度、陽性、陰性予測値を用いて統計処理を行った。

<結果>
MMSEと神経心理学的テストの一致度は、良好であった(42-80%)
特異度は特に優れていた(93%以上)
感度は不良であった(19%)
MMSEの項目とそれに対応している神経心理学的テストの相関は、低度から中等度であった (6 months: r = 0.11 to 0.28; 12 months: r = 0.09 to 0.34)。
最も高い相関を示したのは、6か月後の注意の項目(r = 0.28)と12か月後の言語(r = 0.34)であった。

<考察>
急性呼吸不全の生存者において、MMSEは、詳細な神経心理学的テストと比べて、認知機能障害を見つけることにおける感度に乏しかった。
この患者において、MMSEの結果は、慎重に解釈すべきである。

神経心理学的テスト:Neurobehavioral Cognitive Status Examination(NCSE)、Wechsler Adult Intelligence Scale(WAIS)、Wechsler Adult Intelligence Scale(WAIS:ウエクスラー記憶検査)、言語流暢さ試験

2020/04/05

COPD増悪後、早期介入は、有効か?(ERJ open 2020)

Early pulmonary rehabilitation after acute exacerbation of COPD: a randomised controlled trial

ERJ Open Res. 2020 Jan; 6(1): 00173-2019.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7024764/

<目的>
COPDの重症増悪後の早期呼吸リハが、死亡率の減少や入院を減少させるか、身体機能やQOLを向上させるかについて検証すること。

<方法>
無作為化比較試験。150人のCOPD増悪で入院した患者が対象。
患者は、退院後2週間以内に呼吸リハを開始するか、同じプログラムを退院2か月後に開始するかに分けられた。

<結果>
早期呼吸リハは、最初の入院までの期間や死亡までの期間を延長しなかった。
しかし、開始から2か月後、早期呼吸リハは、漸増シャトルウォーキングテストで改善が大きくかった。(33.9m、 95% CI 4.18–63.7, p=0.02)
定常シャトルウォーキングでも改善を認めた。(140 s, 95% CI −2.03–282.76, p=0.05)
CAT(COPD assessment test)は、有意差が無かった(−1.43 points, 95% CI −3.44–0.59, p=0.17).

<考察>
増悪後の呼吸リハを早期に開始すると、より速く身体機能の改善が得られた。
しかし、生存率や再入院までの時間には改善が無かった。

・急性増悪後の症状は、通常7-10日持続し、患者の20%は、8週後も完全に回復しなかったという報告がある。
・呼吸リハは、COPD管理において重要な役割がある。

・プライマリーアウトカム:1年後の生存率、再入院。
・セカンダリーアウトカム:ISWT、ESWT、CAT

・早期呼吸リハ:退院後、外来や地域や自宅にて身体機能を測定。退院後2週間以内にリハビリを開始。

・リハプログラム:標準的な7週間プログラム。監視下運動療法(有酸素運動、レジスタンストレーニング)、教育セッション、
・運動は、週2回、1.5時間、教育は週1回、1時間。

・安定後リハグループ:退院後2ヵ月から同様のプログラムを開始。

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研究プロトコル
・アドヒアランス
早期リハグループで、初回セッションまでの期間は、9日。介入セッションは13回。

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再入院までの期間
矢印の時点からリハ開始。
早期から開始しても再入院までの期間は変わらない。(むしろ短縮?)
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生存率
矢印からリハ開始。
リハ開始期間によって、生存率に差は無い。
身体機能
a)ISWT、b)ESWT、c)CAT
どの指標も、回復の立ち上がりは早期介入の方が早いが、その後は有意差なし。

・2016年のCochrane reviewでは、早期リハを”退院後3週"と定義した。しかし、これらのレビューでは、対照的に、早期リハとリハなしで比較されていた。
今回は、介入開始時期の違いで検討した。
しかし、再入院率や数の成績は今回の方が不良であった。
→これまでの研究でも、見解は様々である。