Chronic Obstr Pulm Dis. 2016; 3(1): 419–434.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5559123/
<背景>
歩行時の酸素療法は、長期間酸素療法(LTOT)を使用している患者において行われており、現在のガイドラインでは、もし運動耐容能の向上が期待できるのであれば、動作時低酸素血症がある患者に使用することを示唆している。
これは、1つの大規模な研究で、酸素と空気を比較すると、明らかな効果が示されたことを根拠に使用されている。
長期効果や、この患者の歩行時酸素療法については、議論されているところである。
<方法>
1980年から2014年に、LTOTを行っていないCOPDの歩行時酸素吸入とプラセボで比較した論文を収集。
歩行時酸素吸入のデバイスの影響についても検証した。
アウトカムは、運動耐容能、ボルグスケール、運動時の酸素飽和度を維持するためのデバイスの影響
<結果>
23本(620人)の論文が対象。9つの研究で歩行時の酸素療法の影響について検討され、14の研究で供給デバイスの影響について検討。
歩行時の酸素吸入は、運動耐容能(6MWT、ESWT)を改善する統計的な効果は得られなかった。
6MWT終了時のボルグスケールも、酸素吸入による統計的な改善は得られなかった。
コンサービングデバイス(商品名:オキシマイザー)では、ネーザルカニューラと比べて、動作時の酸素飽和度において、統計的に有意な改善を示した。(p=0.04)
<考察>
歩行時酸素療法は、運動耐容能やボルグスケールに対する長期効果は限定的であった
採用基準 |
・上記採用基準を基に文献を検索
・酸素供給デバイス効果は、LTOTを行っている患者を含めた
・COPDの定義は、肺気腫と慢性気管支炎を含めている
・結果
【運動耐容能】
・4文献は6MWTで評価。コントロールグループの方が、21.97m多かった。この結果は、在宅でのスタディのメタアナリシスでも反映されており、0.56mコントロールグループの方が良かった。
・2文献はESWTで評価。対象者が少ないため、意義は少ない。
統計的に有意差は無いが、酸素療法グループの方が150.02秒長かった。
・2文献でエルゴの最大負荷で評価。酸素療法の方がより長く運動を行える傾向にあった。
【息切れボルグスコア】
・2文献で6MWT、2文献でISWT終了後の息切れBorgを評価。
・どちらも統計的な有意差は無かった。
【QOL】
・どのドメインも統計的な有意差は見られなかった。
・CRQの感情のドメインでは酸素療法の方が良好な傾向を示した
・在宅(Domiciliary)での研究は、全てのドメインで酸素療法を行った方が良好な結果を示した
【酸素デバイス】
・歩行距離で差が無かった
→文献によって、低酸素の基準が一定ではなかった、
→酸素投与による、効果は一時的で、長期間の使用でアウトカムに有意差は無かった
→酸素ボンベの運搬による影響