2020/02/20

肺線維症急性増悪後のADL

The Activities of Daily Living after an Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis

Intern Med. 2017 Nov 1;56(21):2837-2843.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28943534

<目的>
特発性肺線維症(IPF)の急性増悪(AE)は生命を脅かす状態である。ADLとQOLは、IPF増悪(AE-IPF)患者でしばしば制限される。しかしながら、AE-IPFとADLの関連に関しては、いまだに評価されていない。
AE-IPFのADLに対する影響について評価した。

<方法>
2010-2014年にAE-IPFの患者を採用。後方視的に6項目からなる修正Bathel Index(BI)を用いてAE-IPF前後のADL状況を評価。

<結果>
47のAE-IPF患者のうち、増悪後3ヵ月で生存していたのは28人。
22人の生存者で、増悪前のBIは満点。12人の患者の増悪4週後のBIスコアは、15点以上減少しており、生存者の半分以上は55点以下であった。
ロジスティック回帰分析で、増悪後28日の動作時(OR 24.20)と安静時(OR 21.00)の低酸素血症が、増悪4週後のBIスコアが15点以上減少していることと関連していた。

<考察>
AE-IPF生存者で、低酸素血症がある患者は、治療後にADLが低下していることが示された。

・ADL評価は、増悪前、増悪後1日、8日、15日、29日に評価。
・BIは、呼吸器疾患の状態は反映しにくいとされるが、簡便で、病院内ルーチン評価となっているため、採用。
・BIスコアが増悪前より10点減点:軽度、10-15点:中等度、15点以上減点:重度ADL制限と定義。

・急性増悪の定義:IPFと診断されている、過去30日に説明できない息切れの増強を自覚、HRCTで新たな両側性すりガラス影の出現、浸潤影の指摘、その他呼吸器感染症(気管支肺胞洗浄、誤嚥、喀痰など)の除外。
左心不全、肺塞栓症、そのた急性肺疾患は除外。

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BIスコアの経時変化
増悪前は、ADL動作自体は、ほぼ自立。

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ADL項目別変数

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増悪前後のBIスコアと経過。
元と活動量が高いと、軽症で済むことが多い様子。