2020/02/16

動作時低酸素血症と肺高血圧の関係

Relationship between exercise desaturation and pulmonary haemodynamics in COPD patients.

Eur Respir J (IF: 11.807) 2004 Oct;24(4):580-6.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15459136

COPD患者の肺高血圧(PH)は、血行動態の影響として伝統的に説明させている。
近年、その他の機序として、炎症による動脈のリモデリングが示唆されている。
この研究の目的は、運動時PHが、低酸素血症なく生じているか、運動時低酸素血症と同時に、肺動脈圧や肺血管抵抗性指数(pulmonary vascular resistance index:PVRI)が上昇しているかについて検討した。

17人のCOPD患者を対象に肺血行動態を評価。安静時低酸素血症は無しか軽微で、ADL動作や労作時の環境を運動中として評価。

ADL動作中に、65%の患者で運動時PHが生じた。運動中の肺動脈圧は、動脈血酸素分圧と負の相関を示したが、運動時PHは低酸素血症時に必ずは生じなかった。
一方、運動時PHは運動時低酸素血症のある患者全例には見られなかった。

安静時PVRIはADL動作中の動脈血酸素分圧と負の相関を示した。しかし、運動時低酸素血症が無くPVRIが上昇している患者が35%いた。

安静時に軽微な低酸素血症にとどまっている患者において、運動時肺高血圧はCOPD患者のADL動作時に生じている
運動中の肺動脈圧と動脈血酸素分圧は、負の相関を示していた。
低酸素血症と肺高血圧の関係については、示せなかった。
これは、肺高血圧の進行に伴い、その他の低酸素血症の機序があるかもしれない。


・肺動脈圧は、ADL動作中と最大運動時にスワン-ガンツカテーテルをもしいて、動脈圧を測定
・運動はトレッドミルを使用。1.2km/hから開始し、2分ごとに0.6km/hずつアップ。最高4.8km/hまでとした。さらに、負荷を上げるときは、傾斜を毎分1.5%ずつ上昇。
歩行中、エルゴスパイロメトリーを装着し、最大酸素摂取量やCO2排泄量を測定。

・橈骨動脈に動脈血採血用にカテーテルを留置。PaO2>10kPaを正常、8.1-10.0kPaを軽度低酸素と定義。
・血行動態は、右心房圧、平均右心房圧と平均右心房圧、肺毛細血管楔入圧を使用。

・運動誘発肺高血圧は、右心房圧>30mmHgと定義。

a)動脈血酸素分圧
b)肺動脈圧、肺毛細血管楔入圧
c)肺静脈抵抗指数
d)心係数(心拍出量を体表面積で除した値:酸素摂取量の指標)
Rsup:仰臥位
Rst:座位
ADL:ADL動作時
Max:25w以上の動作を行ったとき