Eur J Cardiothorac Surg. 2017 Jul 1;52(1):47-54.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28419206
<目的>
有酸素運動能力の低下は、肺がん患者における長期間生存率やQOLに影響するリスク因子である。
この無作為化試験は、肺がん手術前にリハビリを高強度インターバル(HIIT)で行い、心肺機能や長期間術後アウトカムへの影響を検討すること。
<方法>
周術期肺がん患者を無作為に通常ケア(n=77)とHITTを行う介入群(n=74)に分け術前のみ実施。
心肺運動負荷試験(CPET)と肺機能検査(FVC、FEV1、DLCO)を術前と1年後に実施。
<結果>
術前待期期間(中央値25日)中に、リハを行った患者は、中央値8回のHITTを実施。
1年後、通常ケアの91%、リハ群の93%が生存。
肺機能は、両グループで著明な違いなし。
術前CPETの結果と比較すると、両グループで似たような最大酸素摂取量の低下を示した。
<考察>
HITTを含めた術前短期間リハビリは、肺切除術後1年後の運動耐容能や肺機能を改善させなかった。
・介入内容
週3回エルゴメーターを用いたHITTを実施。
最大負荷の50%で5分ウォーミングアップした後、10分のセッションを2回。
最大運動負荷で15秒スプリントと15秒インターバルを実施。
2回のセッション間には4分間休憩。
終了後、クールダウンを最大負荷の30%で5分。
運動負荷は、それぞれのセッションにおいて最大心拍数に近づくように調整。
全患者に活動的な活動とリスク因子の管理についてアドバイス。
肺切除は、開胸もしくはVATSにて実施され、抗菌薬、排痰、硬膜外麻酔など標準的な周術期介入を実施。
ルーチン理学療法として、インセンティブスパイロを使用した深呼吸練習、咳嗽運動、活動介助を実施。
・術前のHITTを含む運動プログラムは、術前の運動パラメーターを改善させ、通常ケアと比べて術後肺合併症を45%減少させた。
・術後肺機能は、切除後最初の2週間はFVCとFEV1は直線的に減少し、その後3-6ヶ月かけて回復していくことは知られている。
術後酸素摂取量は肺機能の損失よりも大きい。
青:通常ケア 赤:介入群 |
青:通常ケア 赤:介入群 |
・術後の運動や毎日身体活動を行うようにといった患者教育を行っていなかったことが、通常ケアとリハ群で酸素摂取量が低下した要因かもしれない。