BMC Geriatrics 2006, 6:12
<背景>
市中肺炎(CAP)で入院した高齢者は機能低下と関連している。
炎症マーカーと身体機能の状態の関係についてはあまり知られていない。
目的は、TNF-α、CRPとADLの関係を調査し、1年後の死亡率や再入院と関連するリスクファクターを同定すること。
<方法>
大学提携病院に入院した301人のCAP患者(平均年齢73.9歳)
全患者は、入院時にベースライン評価を実施。
社会背景、原因菌(微生物学)、認知機能、身体機能
血中TNF-αとCRPは同時に採取。
退院時に身体機能を再評価し、退院後3ヵ月まで毎月調査し、入院前と比べて身体的に回復したか低下したかを記録。
アウトカムは退院後1年間での再入院や死亡率を複合的に評価。
<結果>
患者の36%は退院時に機能低下が進んでいた。
11%は3か月後も機能障害が残存していた。
血中TNF-αとCharlson Indexが、独立して退院時の身体機能低下と関連していた。
3ヵ月時点での機能回復していないことは、認知機能障害、入院前の併存症と関連していた。
Cox回帰分析において、3か月後の機能障害の残存、認知機能障害、Charlson Indexは、1年後の再入院や死亡を強く予測した。
<考察>
血中TNF-αレベルは、CAPで入院した患者の機能障害を予測した。
退院後3ヵ月時点で機能回復が遅れており、認知機能障害、既存の併存症のある高齢者は、再入院や死亡リスクが高い。
資源の少なさとともに、これらの結果に基づく将来のリスク層別化システムは、介入によって効果のある高齢患者を発見するためのよい指標となるかもしれない。
・ADLは6つの項目(入浴、整容、移動、歩行、トイレ、食事)について患者本人か近親者に入院2週間前の状態を聴取。スコアは1(自立)-3(全介助)点。
・2点上昇を機能低下、2点減少を機能改善と定義。
・認知機能は入院時にMMSEを聴取。
・入院日数は平均約7日程度
PSI:Pneumonia Severity Index(肺炎重症度) 重症ほど、退院時に機能低下(ADLで介助を要す)している患者が多い |