2019/09/16

NSCLC術前運動療法は術後合併症を減少させる

Preoperative exercise training for patients with non-small cell lung cancer.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Jun 7;6:CD012020.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28589547

<背景>
早期の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する外科的切除術は、治療の最善の機会であるが、術後合併症(肺炎、膿性痰、白血球>11000など)、気管支胸膜瘻孔、重度無気肺、人工呼吸期間の遷延のリスクがある。
現在、術前の運動療法が運動耐容能を向上させるように、術後肺合併症や肋間ドレナージ期間、入院期間などの術後アウトカムを改善させるかもしれないことについては明らかになっていない。

<目的>
主な目的は、NSCLCで予定手術を行う患者における術前運動療法が、術後アウトカムに影響するかを検討すること。
2つ目の目的は術前運動療法が入院期間、疲労感、息切れ、運動耐容能、肺機能、術後死亡率に影響するかを確かめること

<方法>
NSCLCで手術前に運動療法を行ったRCTを行った文献を抽出

<結果>
167人の患者を対象にしたRCTが対象(5文献、平均年齢54-72.5歳)
全体的に、研究バイアスは高く、全てのアウトカムのエビデンスの質は低かった。
4つの研究で蓄積したデータでは、術前運動療法が術後肺合併症を67%予防した。
運動療法を行った患者群では、運動しなかった群よりも肋間カテーテル期間が短かった。
術後入院期間は運動療法を行った方が短い。
2文献にて、術後運動耐容能(6MWT)、努力肺活量(FVC)は運動療法群が優れていた。

<考察>
術前運動療法は、肺合併症、ドレーン留置期間、術後在院日数を減少させ、運動耐容能、努力肺活量を改善させた。
このレビューは、研究間の不均等さがあること、バイアスリスク、サンプルサイズが少ない事を注意して解釈されるべきである。
大規模RCTの必要性が強調された。


・対象患者:アメリカ、中国、ブラジル、トルコ、イタリア
・運動期間:1日3回を1週間、週5回を4週間など様々
・運動種類:有酸素運動は対象の全文献にて実施。1文献でレジスタンストレーニング、2文献で吸気筋トレと教育、4文献で呼吸練習、1文献でストレッチを実施。