2019/08/19

栄養障害のあるCOPD増悪患者に神経筋電気刺激を加えた。

Improvement in Quadriceps Strength and Dyspnea in Daily Tasks After 1 Month of Electrical Stimulation in Severely Deconditioned and Malnourished COPD

CHEST 2006; 129:1540 –1548

<背景>
COPD患者の体重減少は息切れの増強、下肢筋力の低下、病状の悪化と関係している。従来のリハビリ戦略は運動耐容能による制限に限定していた。
今回、急性増悪後のCOPD患者で重度のデコンディショニングをきたしている患者に通常のリハプログラムに加えて電気刺激が有効であるかどうかについて検討した。

<方法>
無作為化比較対象試験。対象は、17人の重症COPDで低BMI(平均18,0)の患者。(気切患者2名あり)
無作為に通常のリハビリか通常のリハビリに加えて電気刺激を行うかに分けられた。期間は4週間。
評価は、リハ前後に実施。項目は大腿四頭筋力、総筋肉量、運動耐容能、健康関連QOL。

<結果>
電気刺激を加えると、通常リハの約2倍、筋力がアップした。
日常生活での息切れも改善。
また、電気刺激を加えると歩行距離(有意差なし)、BMIも増加。
電気刺激を行なった群において、最大筋力の変化と筋肉量の変化に強い関係を認めた。(r  0.94; p  0.03)

<考察>
重度のデコンディショニングをきたしたCOPD患者において、通常リハに電気刺激を加えると、大腿四頭筋力の改善、ADL動作での息切れが大きく改善した。
これらの患者に対して、電気刺激は通常の呼吸リハに補完される有効な手段であることが示された。

・対象
軽負荷の運動ができない、BMI<22、筋力低下(予測最大筋力の50%未満)、急性増悪にてICU滞在もしくは入院している、急性呼吸不全がない、呼吸リハセンターに1ヶ月入院


・通常リハの内容
臥位での四肢自動運動を週4日
可能であれば、ゆっくりとしたトレッドミル歩行5ー10分、2.5キロの重りで上肢挙上運動。
週1回の教育セッションにも参加

・電気刺激
週4回、30分以上大腿四頭筋を刺激
ウォームアップ5Hz5分、25分間35Hzと5hzを交互に実施。
患者が耐えられる範囲で強度をセットし、1日5mAずつ増加した。

・電気刺激を行なったグループで、筋肉量の増加はBMI3%増加と関連していた。
→筋肉量が増えれば体重も増える?