2019/08/27

急性期の運動介入で改善しない患者は予後不良

Inter-individual variability in response to exercise intervention or usual care in hospitalized older adults

J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2019 Aug 13.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31407876

<背景>
入院中の運動プロトコルは高齢入院患者の身体機能や認知機能低下を予防するために実用的である。
本研究の目的は、急性入院患者に対する通常ケアと運動介入が運動耐容能、筋力、認知機能に個別にどのような反応を示すかを調査すること。

<方法>
単盲検無作為化試験。スペインの急性期ケアユニットに入院した75歳以上、370人の入院患者。
運動介入グループ(intervention group;IG)、コントロールグループ(control group;CG)に無作為化。
通常ケアグループは、慣習的なケアを行い、必要に応じてリハビリ介入を実施
院内にて複数の運動プログラムからなる介入を5−7日続けて実施(1日2回介入)。
運動耐容能はSPPBと歩行速度で評価。握力と認知機能は入院時と退院時に評価。
両グループの患者は入院中の治療効果によって好反応(Responder)、非反応(NonResponder)、悪影響(Adverse responder)に分けた。

<結果>
介入グループにおいて、SPPB、筋力、認知機能は、好反応グループの割合が多かった。
介入グループのうち、SPPBと歩行速度が悪影響であった患者は、1年後の死亡率が高かった。

<考察>
高齢入院患者において、運動介入によって、運動耐容能、筋力、認知機能、で良好な結果を示す割合が多かった。
入院中の運動介入、もしくは通常ケアを実施しても、運動耐容能が改善しないことは、退院1年後の死亡率と関係していた。

・介入内容
1日2回(午前、午後)、1回20分、週末を含む5-7日続けて実施。
運動内容は、Vivifrailの転倒予防の運動プログラムを使用
午前は、監視下での運動。レジスタンス(1RMの30-60%)、バランス(タンデム歩行やバランスマットなど)、歩行練習。

午後は、非監視下での運動。0.5-1.0kgの軽い錘で上下肢運動、病棟内歩行

・治療反応性の判定は、MCIDを超えたかどうかで判断
SPPB:1点
握力:1kg
歩行速度:0.1m/s
MMSE:3点

・平均年齢87歳、平均Bathel Index83-84点、SPPB4.7点
疾患割合は、心血管疾患が35%で最も多く、次いで感染、呼吸器、消化器、神経、その他


・1年後の死亡率
SPPBが低下した⇒62.5%(有意差あり)