Respir Res. 2019 Jul 24;20(1):166.
https://respiratory-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12931-019-1135-6
<背景>
COPD患者は、心血管リスクが高く、心血管疾患はCOPD患者の主な死因である。今回の研究では、呼吸リハ中に心血管リスク(動脈硬化で評価)が変化するかを示し、効果があった患者となかった患者をサブグループにて評価した。
<対象>
6週間のリハビリ期間で、身体活動や運動耐容能によって動脈硬化の程度が変化したかどうかを評価した。
リハビリ中に動脈硬化が減少したか否かのCOPD患者の特性を検討した。
<方法>
92人のCOPD患者がリハ開始。54人はリハビリを完遂し、そのうち29人は6週間後に再評価を行った。
動脈硬化=動脈パルスウェーブ
運動耐容能=ISWT
身体活動量=1日の歩数
でそれぞれ評価。
<結果>
平均すると、呼吸リハによって動脈硬化は改善しなかった。
56%の患者は動脈硬化が減少していた。
リハ中の動脈硬化の変化は、身体活動量、運動耐容能の改善と関連していたが、多変量解析にて身体活動が最も影響していた。
改善した患者の92%は、主に6週間後のメンテナンスに参加していた。
<考察>
COPD患者で動脈硬化を評価することは、呼吸リハを行う患者のサブグループとしての可能性があり、身体活動量の向上と関連していた。
・リハ内容は、1セッション2時間以上、週2回を6週間実施
・内容は英国胸部学会(BTS)のガイドラインに基づく
・PTによって上下肢のレジスタンストレーニング(フリーウェイト、セラバンド)、有酸素運動(トレッドミル、エルゴ、歩行)を1時間
・運動強度:患者個々の能力に応じて調整
・PTは最低10分はmBorg3-4程度の運動を行うように促した
・後の1時間は他職種による教育セッション
・評価項目は、増悪頻度、前年の抗菌薬やステロイドの使用、CAT、MRC、HADS、動脈波加速度(aPWV)
ISWTや活動量が向上すると、動脈壁の加速度は減少する(柔らかくなる) |
・歩数が1000歩増えるごとにaPWVは0.2m/s減少する
運動耐容能は脈波速度の独立した変化の因子ではなかった。