2019/06/17

肺炎患者への早期離床の効果(Systematic Review and Meta-Analysis)

Effect of Early Mobility as a Physiotherapy Treatment for Pneumonia: A Systematic Review and Meta-Analysis

Physiother Can (IF: 1) 2019 Winter;71(1):82-89.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30787503

<背景>
肺炎で入院した患者に対する早期離床(early mobilization)の入院期間、死亡率、臨床アウトカムへの影響についてのシステマティックレビューである。

<方法>
4つのデータべースで検索。採用基準は、1)肺炎急性期であること、2)早期離床介入を行っていること。
批判的吟味は理学療法エビデンスデータベースとNewcastle-Ottawa Scaleを用いて行った。

<結果>
4つの研究が該当(RCT3本、後方視コホート研究1本)。
メタアナリシスの結果、早期離床は、通常ケアと比べて
・死亡率を減少させない(risk ratio 0.9 [95% CI: 0.27, 2.97]; p = 0.86)
・平均在院日数は減少する(-1.1 days [95% CI: 2.21, -0.04]; p = 0.04)
・再入院率や救急受診率に影響しない
・1つの研究にて運動耐容能、身体機能関連QOLが改善し、より速くADL評価を実施できた。

<考察>
早期離床は、市中肺炎にて入院した成人に対して、在院日数を減少させた。しかし、死亡率や再入院率への効果は無かった。
今後、早期離床の効果についての研究やガイドラインの確立が求められる。


・重症患者に対する早期理学療法は安全で効果的であると文献的に示されている。
・肺炎の管理にモビライゼーションを組み込むことは、現在のガイドラインで推奨されている。
・しかし、市中肺炎に対しての早期離床の効果は明らかになっていない。
・内容は、入院後24時間以内に20分ベッドから離れて座位をとること、伝統的な気道クリアランステクニック、持続気道陽圧など。

・在院日数は患者の経済状態や抗菌薬を購入できるかなど多因子によって規定される
・在院日数が短いことは、経済的な効果だけでなく、入院し夜間病院で過ごすと、感染リスクが2%上昇し、薬剤副作用のリスクが0.5%上昇するというリスクを回避できる。