Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2015; 10: 2423–2430.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4648595/
<背景>
COPD患者は、骨格筋力が減少しており、活動制限を招いているかもしれない。包括的呼吸リハは、下肢の筋力トレーニングを含むべきである。さらに、骨格筋力を簡単に評価できるシンプルなツールが求められている。
<目的>
COPD患者の骨格筋力を起立テスト(sit-to-stand test(STST))と、1RMとを比較し、研究的な場面でない場合の筋力評価のゴールドスタンダードを検討すること。
呼吸リハプログラムにおけるSTSTの反応性を評価すること。
<方法>
60人の中等症から重症の入院COPD患者を無作為に、特異的筋力トレーニング群と通常の呼吸リハ群に分けた。
評価項目は、30秒STST、1分間STST、1RM、6MWT。
ブランドーアルトマンプロット(Bland–Altman plots)で、1RMとSTSTの関係を評価。
<結果>
両群にベースラインで差は無し。
全ての患者で、1RMが、30秒STST(r=0.48, P<0.001) と1分間STST(r=0.36, P=0.005)と著明に相関。
30秒STSTの方が、疲労感と時間がかからない面において、良好な結果を示した。
特異的筋力トレーニング群は、30秒STSTと1分間STST、1RM、6MWDが著明に改善。
通常の呼吸リハ群は、30秒STSTと6MWTにて著明な改善を示した。
<考察>
安定期の中等症から重症のCOPD患者において、STSTは、妥当で信頼性のある下肢筋力評価のツールである。
また、通常の呼吸リハプログラムの効果も反映する。
・介入プロトコル
・1日目:既往歴聴取、身体所見、肺機能検査、血ガスなど
・2日目:6MWT、1RM(評価の間に2時間間隔を開けて)
・3日目:2種類のSTST(評価の間に2時間間隔を開けて)
。1RM:レッグエクステンションを使用。
・STST:椅子の高さは47cm。足が床につくように腰掛ける。30秒または1分間出来るだけ多くの回数起立運動を行う。
・疲労感:1RMとSTST測定後に、疲労感をVAS(0-100)で評価。
・呼吸リハプログラム
3週間15セッションからなるプログラム。少なくとも12-15回の監視下でのセッションを実施。
下肢筋持久力トレーニングとして30-40分運動(トレッドミルorエルゴ)。運動強度は6MWTの最大心拍数の60-70%。
息切れの自覚症状はborg3-4を目標。
上肢筋トレとして、上肢エルゴや軽いダンベル運動。
必要であれば、排痰法、口すぼめ呼吸、強制呼気、吸気筋力トレーニングを追加。
教育セッションは、最低1回ずつ個別とグループでの活動に参加。
内容は、自己管理、排痰、治療アドヒアランス、栄養サポート。
・介入グループ
上記呼吸リハプログラムに加えて、7種類の運動を2セット、各12-20回の筋トレを実施。
負荷は、1RMの60-70%から開始し、徐々に増大していった。
1RMとSTSTのベースラインでの関係 A:r=0.48, P<0.001 B:r=0.36, P=0.005 |
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30秒の椅子立ちテストで十分評価できる